ウチとアンタと、キミの言の葉3 (ページ28)

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第121話ページ28

レオナ「…」

兄ちゃんはしばらく黙ってウチを見はったまま、やがてウチの腕を掴んでいた手をぱっと自然に離す

レオナ「…本気でそのためだけに近付いてるみてぇな顔してるな

他にも獣人族なんていくらでもいるだろうがよ」

『近くにおったんが兄ちゃんだけだったんよ

昼前の授業では他の兄ちゃんに断られてもうたんや』

レオナ「…そりゃ残念だったな」

兄ちゃんは若干ウチを憐れむみたいなシラけた目でそない事を言いよる

レオナ「俺だから良いって事じゃねぇが、基本獣人は警戒心が強い

耳は特に触られて嫌がる獣人が多いのは世界の常識だ」

『…そうなんね

ウチは何も知らんっちゅー訳や』

ウチは思うままに兄ちゃんと会話を交わす

レオナ「そのテメェの「知らねぇ」事でテメェがこっちに何か危害を加えられても誰も振り返る真似はしねぇ

そのテメェの好奇心でテメェが怪我をしても俺らの知った事じゃねぇって事は知っとけ」

『そらネコちゃんにはネコチャンにとって大事なものがあるって言う事やろ？

それは分こてるんやけど、ウチもネコちゃんと仲良くやりたいって言うそれだけや』

レオナ「…論点が微妙に逸れてるが、まぁ言いたい事が分かってるなら何も言わねぇ」

そして兄ちゃんもウチに伝える必要のある事は言い切ったんか、一つ溜息を吐いて次はウチにこう言う

レオナ「耳だけなら少しは良い

ただしグローブは外せ」

『…おん？』

レオナ「触られる側の事も少しは考えろ

そんな気味の悪い感触で耳触られて、嫌な気分にならないとでも思うか？」

そらそうやな、思てちょいと自分の行いに反省の気持ちも芽生える

『…兄ちゃんの言う通りやな

触る側にも礼儀があらんとアカン』

レオナ「…別に礼儀だ何だはいらねぇが」

『…まぁ言葉は何でもええやん

言いたい事はウチにもよう分かるわ、人が嫌がる事は勝手にしたらアカンよって子供の頃にも習う常識の事やろ？』

レオナ「…」

『…手袋は外すで

それに、兄ちゃんが嫌ならウチも無理は言わんよ

今授業中やしね』

そう言うてウチは兄ちゃんに笑いかけて、この感じやしもう兄ちゃんから離れて授業に戻るべきかって思てこの場を離れる気持ちを整え始めていた