ウチとアンタと、キミの言の葉3 (ページ12)

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第105話ページ12

その日僕が突き刺したリリックが果たして的を射るような言の葉で溢れていたかについては疑問だ

でもあの日潰したその日の女の子は、僕のリリックを受けて暗い意識の海に沈んでいった

眠る直前まではその子もそれなりの精神力を持っているのか、僕が限界になるまで目を開けて言の葉を紡いでいたけど、僕が手を握ると同時に最期はあの嫌になる笑みを浮かべて眠っていったんだ

『…ウチも、自分1人は寂しい』

最期の言葉を聞いて、何もかもが分かって余計に嫌になる

言葉で人を傷付けないように仕立て上げた結果に、孤独の渦中で生きなければならなかった事を悟れる

本音で語りたかった誰かがいる事も、本音で語って心を通い合わせたいと願った誰かがきっと自分の身内以外にもいたという事も分かる

その子は「悪」でも、だからといって「英雄」でもなかった

だけど「人間」にもなりきれないで、ただの「自分の信念」が歪んだ道のりを辿って前に成長し続けた結果生まれた、「肉体と精神の寄り集まった塊」以外の何者でもなく、命として不成立な不可思議な生き物と言えた

乱「…お前の事、気味の悪い人間だって思ってた

僕が人間を語るのはおかしな話だって、お前が僕の真相を悟れば分かる事だって思うけど」

「あの日の僕」を回収した「今の僕(本当の心を持つ僕)」は倒れた2つの肉体を見てそう呟く

乱「…」

悪いけど、この賭けはお前の負けだ

だって僕は「死んでいない」し、お前を「殺しても」いない

乱「…真正ヒプノシスマイクでも、人の精神的な活動は止められるけど肉体的な死を与える事はできない

だからお前はこれからも「死ぬまで」生かされる、お前は自分で最低最悪の結末に身を投じた「唯の大馬鹿者」で終わり

悪役にはなれないよ」

でもお前が仮に「悪役」を名乗るなら、お前は確かに「カッコ良い」悪役だったって言えるよ

英雄記に載れるけど、きっと英雄よりも人に慕われて人気を誇る事になるお前の望んだ形とは違う「悪役」として認識されるんだよ

だけどね

乱「…こんな終わりは僕も望んでいない

まだこの物語は続いてる、本当のハッピーエンドを迎えるためにまだ僕は世界にテコを入れ続けるよ」

そう言って、以降の僕は周囲を掻き乱して進んで行った