ウチとアンタと、キミの言の葉2 (ページ42)

今日:3 hit、昨日:25 hit、合計:22,352 hit

第87話ページ42

ジェイドside

－－Aの部屋にて－－

ジェイド「サシャさん…おや」

先に戻って聞いた「話」をサシャさんに伝えようと部屋へ行けば、サシャさんは課題をやっていた

課題が何かと思えばトレイン先生の動物言語学

彼女の机の上には大量の紙と図書館から借りてきたのであろう辞典が数冊置いてありました

『せやから読めへんねんやって

けど発音的には…』

独り言を呟きながら彼女は自分の頭と手を動かして課題に取り組んでいるようです

こういう所は彼女真面目ですよね

その口から出てくる言の葉はそれを予測させはしないのに

ジェイド「…少しお時間をいただいても？」

『おん？ジェイドやん

どないしたん？』

彼女は何事もなかったかのように僕に視線を向ける

というか彼女は僕達が何をしていたのか分かってもいないのでしょうか

あの流れで僕達が何の行動にも出ないと感じているのなら、それは思い違いですよと言ってやりたくなってくる

ジェイド「…ルグレ・セイランから貴女にかけられた魔法を伺ってきました

あの日貴女は火の魔法を使われたようです」

『おん？火？』

ジェイド「貴女の髪を燃やすつもりでかけたのだと伺っていますよ

それでも貴女は「別に関係ない」で流すつもりですか？」

彼女は僕がそう言うと、自らの髪を手で触りながら僕にこう返す

『…髪なぁ

もし焼かれてたら弱ってたかもしれへんな』

ジェイド「貴女は「何事も気にされない」訳ではないのですね」

『そら燃えたらそれなりに文句は言うで

でも何も起こってへんねやったらそれでええわ』

ジェイド「…」

やはり理解不能だ

予測不可能というよりも、「何も掴む事ができない」

それは僕の中では「少し厄介」だ

確かに予定調和は僕は嫌いですから、それを「解りたい」と思って興味を抱く反面で、「彼女は僕の能力では何も理解しきれずに終わるのであろう」という予測ができてしまって、それに嫌気を覚える

ジェイド「…なら逆に何故「髪を燃やされたら文句を言う」のですか？」

『おん？』

ジェイド「アズールに奪われるのは良いのでしょう？

でも彼が燃やしたら「弱る」、その理由が僕には分からないので」

そう言うと彼女はまたもや予想外の事を言い出す

『…せやね

なら今切ってまうか』

そう言って彼女は突然その場に立ち上がり、やがて僕に立ちはだかるように歩みを進めてきました