ストーカー彼氏が甘すぎる。(桃)

○甘さ：8g ページ8

さとみside.

出会ったのはいつだっけ？

確か三年前の春だよな。

自分で言うのもなんだが、営業成績のよかった俺は早くも教育係を任じられた。

最初は…正直めんどくさくて覚えのいいこか大人しいこがいいな、とか下らないこと考えてたな。

でも、君はすごく元気で自分の主張を届くまで訴えて、すごくすごくお転婆な子だった。

それでもなぜか、仕事ではすごくしっかりしてるのに、休憩とかプライベートだと天然でふざけちゃう君を見て、堪らなく愛おしくなった。

そこからだな、ストーカーなんてものになったのは。

初めて後をつけた時は無意識だった。

守ってあげないと、という正義感と善意から。そして、家が知りたいという下心からだんだんと彼女に興味が湧いた。

その内、ただ後をつけているだけでは物足りなくてもっともっと彼女を知りたくて私物を盗んだり、彼女とおんなじマンションの真下に住んだり、カメラや盗聴器…GPSなんかを仕掛けたり…

彼女の気を引くために精一杯やった。

それでも、どうしても脳裏にちらつくのは昔のトラウマ。

学生時代、しっかりものでクールな自分を偽り生活していたためか女ウケもよくすごくモテていた。

好きではなかったが断れるような気の強さを持ち合わせていなかった俺は、仕方なくOKし付き合った。

それも、続いたのはたったの4日間だけだがな。

泣いたり、甘えたり束縛したりしていたら相手の方からもう付き合いきれない、とフラれてしまった。

正直のところ、俺はどこが悪かったのか分かっていない。

自分の善かれと思ってやったことが、認められないことに、素の自分をさらけ出したことで幻滅されたことが気にくわなかった。

何より、別れ際の

“裏切られた気分だ”

と言う一言がいまでも鮮明に思い出せるくらい腹立ったことだった。

意味が分からない。



そんな中、Aが俺のことを見放さずに寄り添ってくれた。

嬉しかった。

認められたことが、理解されたことが。




生涯俺は、A一筋で行く。

そう心に誓い、隣で眠る彼女の額にキスを落とした。

さ「愛してるよ。」










大好きなんかじゃ物足りない。

欲張りだなんて分かっているけど、やっぱり好きな人の前では自分も好きになれるような素の自分でいたい。

そう思った1日の終わりでした。

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