陸 情けない ページ8
A目線
A「・・・・・っ」
何故、何故私はこんなことをしているのだろう・・・・
あんな昔のこと、まだ引きずっているなんて情けないにも程がある。
A「どうすれば・・・」
私の手の中にあるのは、白夜丸・・・切り裂いた者の記憶を奪う妖刀だ。
これで私を貫いてさえしまえば、こんな記憶ごときで苦しむ必要なんてなくなる。
私ほどの妖怪なら、この妖刀でも深い傷が残るだけで命を落とすほどの傷にはなるまい・・・
鞘から抜いた刀身は、美しく白く輝いている。
僅かに刃先に血曇りがある・・・・そこからは随分と懐かしい匂いがした。
あぁ、きっとこれでこの匂いにも気がつかなくなる・・・
何もかも忘れて少しは楽になれるかな・・・
A「・・・・って、何考えてるの私は」
こんな考えを起こすところも情けない。
鏡の前に立つと、鏡に自分の全身を鏡に映す。
胸元には丁度白夜丸の幅と同じくらいの傷跡がある
前にも二度、私はこの妖刀に貫かれている。
二度目は確か自分自身・・・
初めて貫かれたのは誰の手によってだったか・・・・
とにもかくにも、こうしていても仕方がないのだ。
A「ハァ・・・」
深い溜息を吐くと、私は風に当たろうと寮の外へ出た。
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作者名:冷夏〜向日葵〜 | 作成日時:2015年7月8日 22時