【小説】ドリム学園 (ページ10)

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第十話【猫屋敷晴彦】ページ10

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　私は早足でＢ棟に行き、生徒会役員の子や新歓には出ない子達に大声で指示を出す。

　「いい？もう時間がないの、最後の確認よ。一之瀬ちゃんの代わりに私が指示をするからね。二年生の皆はパイプ椅子の数の確認と整理。三年生は飾りとステージの確認。生徒会の皆は、最初から軽音部の紹介だから気を引き締めて進行しなさい。ちゃんと原稿の確認をしてちょうだい。マイクもね！吹奏楽部の皆は練習しててちょうだいね」

　私は体育館の中を一通り見回ってから携帯を取り出し、信ちゃんに掛けた。

　「もしもし、信ちゃん？」

　『ん？如何したんだい。今日は仕事が立て込んでるんでしょ』

　「それがね、訊いて頂戴よ！さっき利見先生に会ったんだけど、もう本っ当格好よかったわぁ。イケメンよね」

　「猫屋敷」

　「あら、なぁに、カイロちゃん」

　私の後ろでずっと黙っていたカイロちゃんが口を開いた。

　『カイロさん？』

　「大事な要件があったのでしょう。時間もないし、彼だって暇ではないのですから、ね」

　「もうっ、分かってるわよ。私と信ちゃんとの会話を邪魔しないでちょうだいよ」

　『え、春ちゃん、そこにカイロさんが居るのかい？一寸代わってくれた』

　私は信ちゃんの言葉を最後まで聞かないで言った。

　「信ちゃん、今来れるかしら？前から頼んでた書道、もう完成したでしょう。風紀副委員としてのスピーチだってある筈なんだし、そろそろこっちに来てほしいのよ。部室は行ってみたけど居なかったし」

　『嗚呼、その事なら私もちゃんと分かっているさ。今てると一緒に向かっているよ。私なんかより理玖ちゃんを連れて来たらどうだい？彼女は生徒会会長だろう』

　「一之瀬ちゃんなら大丈夫よ」

　『確かにそうだ。じゃあ、カイロさんに宜しく言っておいてくれ給え』

　信ちゃんは勝手に連絡を切った。

　「……ちゃんと来るのかしら？」

　不図、特に意味もなく腕時計を見ると、長い針が十を指していた。

　やだ、十時まで後十分じゃない。

　「生徒会書記の子と、手が空いてる女子三人は早く昇降口に向かってちょうだい！生徒会の説明から、専門委員会、そして部活紹介の流れよ。運動部の次に文化部、文化部は軽音部からよ！誰か一之瀬ちゃん連れてきて」

　私が大声で指示をしていると、体育館の入り口から信ちゃんがのろのろと紹介で使う茶道具と習字セットを両手に抱えながら入って来た。その後ろには他の部活の子に、軽音部一同。

　「もう、皆遅いわよ」