【小説】ドリム学園 (ページ8)

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第八話【一ノ瀬理玖】ページ8

部室に戻ってくると、華威がホワイトボードに候補曲を書き出していた。

シャルル、フラジール、ヒビカセ、orion、ライアーダンスに、偽りの未完成小説…か。

暗いなぁ。

『華威、候補曲はこれだけか？』

「あ、うん。理玖の意見も聞きたいんだけど、なんかある？」

『そうだな…』

そこで私は、ふと今年入ってくる、もう1人の幼馴染、海君の事を思い出した。

そうか、海君も今年はこの学園の生徒なのか…。

軽音に入ってくれるだろうか…。

それはそうと、最近の2人を見ているとなんだか、私がソワソワしてしまって堪らない。

なんか、こう、2人は想いが同じなのに、通じ合わないっていう、もどかしい感じ。

まぁ、私はこの感情のことをなんというのだか知らないのだから、何も言えないが。

そう考えると、なんか当てはまる曲………あ。

『地球最後の告白…は？』

不意に出たその曲名は、私の尊敬してやまないボカロPの1人、kemuさんの曲だった。

「嗚呼、kemuさんの？」

『そうだな、歌えるか？』

「あ、うん。基本的にボカロは歌える。」

それなら良かった。

『なら、フラジール、ヒビカセ、偽りの未完成小説、地球最後の告白で決まりだな』

「ok。地球最後の告白以外は一番だけで良いよね？」

『嗚呼、他の部活を見回って来るから、フェニックスとベースと歌の練習でもしていてくれ』

そう言った後、華威が何かを呟いた。

『ん？何か言ったか？』

そう尋ねてみても、帰ってくる言葉は、「べつにー？」微笑んだこの言葉だけ。

時々見せるこの笑顔に、少しだけ違和感を抱くのだがその正体が、未だにわからない。

その違和感を大事にしまって、私は廊下に出た。

『はぁ。本当にこの新歓の時期は忙しいな。……青龍、いるか？』

【お呼びですか？…って、理玖か。どうした？】

『いや、ちょっと手伝って欲しいというか…。』

【んー？あぁ、新歓でオリエンテーションに出る部活の確認？】

『そう。えっと、とりあえず、吹奏楽部、軽音部…は、いいや。日本文化部…もいいや。
バスケ、テニス、バレーは、男女どっちも出る。から、じゃあ、吹奏楽とテニスよろしく。』

【わかった。陸はバスけとバレーだな？】

『うん。ごめんね。』

【容易い御用だよ。では、終わり次第ここに集合でよろしいかの？】

『よろしく。』

_数分後_

『できたか？』

【あぁ、とりあえず大丈夫だったよ。部室に戻ろうか。】