【小説】ドリム学園 (ページ11)

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第十一話　【時春　華威】ページ11

『寄りによって文化部、トップバッター…』

気合いが上手く入んない。

後ろにベース用のギーターを背負い、体育館に参上する。

広いよ…

声、届くかなぁ…

[華威なら大丈夫だろ]

隣でフェニックスがそういう。

『そうだね。頑張ろッ…』

舞台に上がる時の服は少し露出が多め。

前、海にもっと肌を隠せって言われたけど、それはそれでいい。

チラリズムとか、そういうので目を引きたいからじゃ無いけど。

海に心配された事が嬉しかったから。

「華威、大丈夫か？」

『うん、大丈夫だよ？ちゃんと練習もしてきたし、ね、フェニックス』

[嗚呼、理玖、コイツのことなら大丈夫だ。]

コクンッと再度頷いて見せる。

「もう、皆遅いわよ」

『すーいーまーせーん』

猫屋敷先生がそう言うのに怠く答える。

「伸ばさないの！ほら、早く準備準備！」

流石、おねえだな。

素質がある。

僕は流される侭、エレキギターを回線に刺し混んで、音をならす。

『うん、調節はいら無いかな…』

キュッと握りしめて次はマイクスタンドの設置。

『フェニックス、手伝って』

[わーったよ]

怠そうに返事をしつつも手伝ってくれるフェニックスやっぱり大好きだ。

何時でも、あの時もいち早く気づいてくれた。

傷は残ったけど服から透けない程度になったのはフェニックスのお陰。

僕が“独り„じゃ無いのもフェニックスのお陰。

『テンション上がってきた…！』

[そっか、他の楽器は俺に任せろよ]

『うん！』

心からこう笑えるのも、フェニックスと理玖と海のお陰。

だから余計、“独り„が寂しくなる。