【小説】ドリム学園 (ページ2)

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第二話　【神谷信也】ページ2

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　「うーん、新入生歓迎会もついに当日。去年は私一人しか入部しなくて、寂しい一年を過ごしたねェ。今年は何人ぐらい入ってくれるのかなー」

　【無理でショ。こんなよく分からない部活になんて、誰も入らないサ】

　「だよね。私も、それは百も承知なのだけれど、ねェ」

　私は日本文化部の部室の中央で、事務用の椅子に座りながら部室内をくるくると回っている。風紀委員副委員にも関わらず、私の耳にはピアッサーで開けた一つの穴に黒いピアスを付け、髪には白いメッシュ。

　部室内には大量の日本史についての資料と、良質な骨董品。

　私の大好きな明治から昭和にかけての文豪達の小説や叔父、叔母から頂いた着物などが所狭しと丁寧に整理されていて、右側と左側の壁には天井に届く程の本棚に、正面の壁にピタリとくっつくように置かれた衣装ケースの中には、風呂敷で包んだ着物達。部室の中央には、会議用の長机とパイプ椅子が四つに、私が乗っている事務用の、足にタイヤが付いたものの計五つが置いてある。

　「どうやって新入部委員を入れるか、これは面白い知能遊戯だね」

　【てかさ、今年新しい子達が入ってくれないと、この部活無くなるんじゃネ？】

　「うわ、それは困るなぁ……」

　私は暫く前屈みになって考えた挙句、一人の、頼りになれる賢い先輩を思い出した。

　「そうだ、彼女に訊いてみようじゃないか」

　【カノジョ？】

　「理玖ちゃんだよ、理玖ちゃん。彼女は生徒会会長だからね。いざとなったら彼女に助けてもらおうじゃないか」

　そうと決まれば。

　私は椅子から立ち上がり、いつもより速い足取りで放送室へ入った。

　鍵は勿論、職員室からちょいと拝借した。ちょいと、ね。

　「あー、あー、マイクのテスト中、マイクのテスト中」

　【そんなことしていいワケ？】

　「勿論駄目だけど？」

　私は瞳孔をカッと開いててるに言った。

　愚問だろう。

　マイクが全校に渡るように設定し、深呼吸をした。

　「えー……三年一組の一之瀬理玖ちゃん、一之瀬理玖ちゃん。至急、日本文化部部室に来てください」

　さて、これは怒られてしまうねェ。

　私は笑いながら職員室に鍵を返し、部室に戻った。