24 あの日の事 ページ26
仕事で昔父が亡くなるまで住んでいた町に寄った。
この町にはよく鬼退治に夜歩いたなぁと物思いに耽けながら町を歩く。
この町には父と兄のとの記憶が沢山残っていた。
記憶を辿りながら歩いていた時、ある記憶を思い出した。
ーーー修行の一環で町に鬼が出たとの報告を受け、夜に町に行った。その頃はまだ全集中の呼吸常中を取得したばかりの頃で、風の呼吸しか使えなかった。
夜の町を歩き、鬼の匂いを追う。
血の匂いがし、その方向へ走って向かう。
そこに着くと腕から血を流した少年が鬼と対峙していた。しかし、少し様子がおかしい。鬼が地面に膝を着いていたからだ。
鬼は別に頸を斬られていた訳では無い。
もしかして、彼の血は……。
弱った鬼の頸を日輪刀で斬った。
「てめェ何見てんだァ?」
少年がAの方を見る。 腕からは血が出たまま気にもしていないようだった。
「腕から血が出てるよ。ちょっと待ってて」
体に巻き付けた風呂敷から傷薬と包帯を取り出し手当をする。
「ァア?てめェ…」
少年の目はAの腰に差しているものを見ていた。
「これは貴方の持ってる物と同じ物だよ」
日輪刀を持っていたとしても隊服は着ていないので鬼殺隊の剣士ではない。育子の弟子かと聞いても違うという。
「貴方が柱になればわかるかもしれないよ?」
それまではシィーと右手の人差し指を立て唇に寄せ微笑む。
「これでよし。例え稀血だったとしても自分から傷付けるのはやめなよ。包帯も傷薬もタダじゃないんだし」
じゃあね。と少年と別れた。ーーーーー
あの少年の戦い様を見て、思わず見惚れてしまったんだっけ。それでまた彼に会いたくて町に降りては彼の気配を探したけどあれ以来会う事はなかった。
〈包帯も傷薬もタダじゃない〉
あれは彼に自分を傷つけて戦って欲しくないって幼い心から出た精一杯の言葉だった。
でも彼はまだ体に傷を増やして戦っている。
そうあの少年の名前は……………。
「(そういう事だったのかぁ…!!)」
その場で顔を茹で蛸の様に赤くし蹲る。
次に彼に会った時、どんな顔をして会えばいいのか…。こんな事なら思い出さなければ……!!
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冴輝(プロフ) - 小雪さん» 誤字の連絡ありがとうございます。宜しければどこの部分に誤字があったか教えて頂けますか? (2020年4月21日 18時) (レス) id: cfad016dbd (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - 陰(いん)でわなく隠(かくし)だと思います。後処理隊は (2020年4月21日 17時) (レス) id: 348cf1e7b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冴輝 | 作成日時:2019年10月4日 4時