音羽先生の彼女 (ページ31)

今日:37 hit、昨日:148 hit、合計:362,120 hit

30 ページ31

駒「駒場だ。倒れた屋台の下から新しい負傷者が見つかった。頭部外傷だ。A先生はそっちを頼む」

喜多見チーフを見ると、「行って下さい」と合図された

『分かりました。すぐ向かいます』

処置を終えて戻ってくると・・・・

喜「お、A先生お疲れ様でした。どうでした？」

「右側頭部に血腫が見られたので処置して救急隊へ渡しました」

徳「今回も死者0だそうです！！」

その言葉に安堵する一同

比奈side

医局に戻ってくると、クラッシュ症候群だった足立さんが色紙を渡してくれた

メッセージから喜多見チーフは術後のケアまでしていることを知る

ちゃんと1人1人と向き合っていたんだ

何でこの人は私をMERに指名したのだろう・・・

思い切って聞いてみた

喜「比奈先生は今日現場でどんな状況でも命を救うという覚悟を見せてくれた。それに、先に腸間膜の止血をしてくれたから、救うことができた。あなたがいてくれてよかった」

その言葉で何かが救われた気がした。私でも出来ることはあるんだ・・・

『比奈先生・・・』

比「あ、A先生・・・」

『ごめんなさい、必ず行くって言ったのにすぐ離脱して』

比「そんな・・・A先生は来てくれたじゃないですか！あの状況なら仕方ないですよ・・」

『まだ・・・MER辞めたいと思う？』

比「さっき喜多見チーフと話して少し救われました。だけど・・・喜多見チーフみたいな早い処置も、A先生みたいな正確な診断もできる自信がない。私が必死で探した出血箇所を先生は数秒で・・・・」

『そんなの場数が違うんだから当たり前じゃない。これは私の同期の受け売りなんだけどね・・・外科医は経験が全てなの。比奈先生のその悔しい気持ちや今日の経験をちゃんと活かすこと。それが大きな成長の第1歩だよ』

比「大きな成長・・・」

『うん・・・病棟との兼務も、経験がたくさんできてラッキーと思えば少しは違わない？』

比「そこまでポジティブになれますかね・・・」

『とにかく経験を詰む。せっかくすごい先生が指導医なんだからさ！高輪先生と喜多見チーフが上司って恵まれてると思うな』

比「そう・・・・ですね・・・ありがとうございます」