音羽先生の彼女 (ページ13)

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音羽side

頭を下げるAにいたたまれない気持ちになる

違うんだ・・・いつ引火するか分からないトラックの中にAを留めておきたくなかったから・・・

喜多見チーフに見抜かれて、優秀な医者だから怪我をしたら査定に響くなんて思ってもいないこと言ってしまった。

何か言わなければと思ったが

『音羽先生、心配してくれてありがとうございました』

そう言ってニッコリ笑う彼女

Aは俺の気持ちを汲んでくれている

あぁ・・・いつも君は優しいな・・・

音「いえ・・・あまり喜多見チーフの影響は受けないで下さいね。あなたがいないとこの病院の人たちが困りますから」

『ﾌﾌｯ気をつけます』

そう言った後、幸せそうに唐揚げを頬張るA

その姿にさえ顔がニヤけてしまうのを必死で堪える

ちょうど食べ終わる頃に彼女のPHSがなる

『ごめん、また呼ばれた』

比「コンサルですか？」

『ううん。オペの同意が貰えないから、執刀医から説明してくれって』

オペを嫌がる気持ちも分かるけどね、と言いながら少し困ったように出ていく

比「私も早くA先生や高輪先生に近づきたいな・・・」

音「それは、循環器外科に専念したいということですか？」

比「え？」

音「私はMERという組織を判断しに来ました。弦巻先生個人を審査をする訳ではありませんから、本音で話して頂いて構いません」

比「・・・やって行ける自信がありません。昨日の出動を経験して強くそれを感じました」

音「当然です。喜多見チーフのやり方についていける人なんていませんよ。・・・・ところで、喜多見チーフの経歴があやふやなのですが
、何故MERのチーフに就任したのか・・・理由をご存知ですか？」

比「いえ・・何も・・」

音「そうですか」

仕事を終え、自分の家ではなくAの部屋に向かう

合鍵で入ればまだ帰ってきていないようで部屋は真っ暗だった

スーツを脱ぎ、作業をしていると玄関の扉が開く音がする

『尚？』

音「おかえり。遅かったな」

『カルテの記入が溜まってて。もしかしてご飯作ってくれてたの？』

音「今日は出動はなかったし、厚労省にも特に用事はなかったから。ほら、昼間はたくさん食べてたから夜は軽めにしておいた」

そう言って鶏肉や野菜の乗ったうどんを出せば、Aの顔がぱぁーっと明るくなる