第38話 ページ39
俺から離れた碧棺左馬刻は、部屋の中の前方にある扉を開け、そこへ入っていった
立ち上がった俺は玄関でしばらく立ち尽くしていたが、「いつまでそこにいやがる」という碧棺左馬刻の声が聞こえてきたため、扉の先へ向かう事にした
扉を開けるとそこはリビングのようであり、物は少なく整理されているが、黒い大きなソファとローテーブル、テレビなどが置かれており、碧棺左馬刻はその黒いソファに腰掛けていた
左「座れや」
そう言って碧棺左馬刻は俺の顔を見ながらソファをぼんぼんと叩いた
碧棺左馬刻はやはりどこか機嫌を損ねているように見えたが、先程と比べれば幾分穏やかであるように見えたため、俺は素直に碧棺左馬刻の隣に座る事にした
そして俺がソファに座ると−−−−
左「…ルーク…」
そう言って俺と距離を近づけ、座りながら俺に後ろから抱きついてきた
『…?何だよ…』
突然何を、と思ったが碧棺左馬刻は何も言わずただ俺を後ろから包み込むように抱きしめていた
すると次第に俺の背中から碧棺左馬刻の体温が伝わってきて、背中がじんわりと温まって行くのを感じた
その感触はあまり嫌なものとは感じずどこか安心感を覚えさせるものであり、俺も黙って抱きしめられている事にした
が、やがて碧棺左馬刻は俺を抱きしめながら声を発し始めた
左「…ルーク…
お前だけは、俺から離れて行くなよ」
『…?』
何が言いたいのか分からないが、碧棺左馬刻はどこか不安げにそう言っているように思えた
…天谷奴零達と俺が会った事が、そんなにこいつの不安を煽ったのか?
それに、その言葉はつまり−−−−
俺はやはり碧棺衣緒に重ねられており、碧棺左馬刻にとって俺が消えるという事はすなわち碧棺左馬刻の過去の悪夢を呼び寄せてしまうという事
…だから彼女に似ている俺を失わないためにそんな事を言っているのか?
そんな事を思ったが考えても答えはよく分からないため、ただ黙っている事にした
55人がお気に入り
「ヒプノシスマイク」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユウ | 作成日時:2020年3月17日 21時