第22話 ページ25
左馬刻side
左「俺は帰るわ」
簓「…ほんまに、おおきにな」
そしてしばらくの会話を交わして、病院の面会時間の終わりも近付いてきて俺と簓は別れていく
かつてのヨリを戻すように話を続けたって、今の俺がいるべき場所がここではない事を俺もよく知っているから
左「…そーいや」
そしてふと別れてから思う
確かに簓に妹がいるって話を聞いたのはこれで初めてだ
あいつ合歓に面倒見が良かった割に、自分の妹の話はして来ねぇのかよ
それが今になって昏睡状態に陥ってから落ち込んで苦しんで、何がしてぇんだよ、テメェは
左「…そういう事か」
1人になって、乱数の言いたい事が理解できるような気がする
要は簓は今まで妹を「他人」として見てきたっていう話なんだろう
肉親として命をかけて守るべき相手として妹を扱っては来ないで、妹すらも一定の距離を保って接していた
それがきっと、乱数の言っている「簓の悪い癖」だ
左「…だったとするならいくらテメェが泣いたってテメェの妹は帰って来ねぇよ
テメェのモノですらねぇんだからよ」
一枚板を挟んだような薄っぺらい関係で今までを共に過ごしてきたなら、妹が消えるのは必然だ
存在している事も匂わす事のない程度の薄っぺらいモノを、いざ追いかけてやろうとしたって掴めなくて当然
その板に邪魔されちまう
過保護が良いとも言わないし、俺自身も所詮守りたくても奪われた現状があるから俺と同じやり方で正解だとは思っていねぇ
けど、それぞれに見合っている答えが違くて、簓の答えと世界の答えが一致してないが故に起こった悲劇だっていう話だ
左「…だとしたらテメェはわざと簓の事を変えるためにんな事したって言うつもりかよ」
乱数の考えは分かる
俺もきっと乱数と同じ事を思い、情けをかける気でいるなら同じ事をしたかもしれない
けど、乱数の「それ」は少々厄介な「お節介」だ
きっとテメェは知ってるんだろ？
俺の知らねぇ簓の妹の中身も、簓の妹がどんな思いを抱えているのかも
左「…「優しさ」だって言うなら、俺は簓には何も伝えねぇ
拳で語って分かりゃ良いってもんじゃねぇだろ
やりたきゃテメェでやれ
…だいたい、んなもん自分で気付く事だろ」
この場にはいない乱数に、俺はそう1人悪態を吐いていた
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ユウ(プロフ) - どんさん» どん様、コメントありがとうございます。本日イメージイラストをアップロード致しました。概ねこのようなキャラデザインであると思っていただければ幸いです。 (2021年7月26日 21時) (
レス) id: 8279a81388 (このIDを非表示/違反報告)
どん - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです (2021年7月26日 7時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユウ | 作成日時：2021年7月24日 21時
