好きだよ。だから愛して、離して。【橙】

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「じゃあね」

ジェル「ばいばい……」

悲しそうに手を振るジェル君。

そんな顔を見てしまったら、その手を握りたくなるけど……。

けど……。

だめだ。ジェル君に染まってしまっては。

見ないようにして、私は足早に家を出た。

涙は出ない。

悲しくも寂しくもない。

ただただ……ジェルくんが私がいなくて泣かないか。

こんなことを考えてしまっている。

自信過剰かもしれない。





私が家を出たのには意図がある。

離れたいから。溺れていてはいけないから。

それもあるが、それだけではない。

もう一つの理由は……。

『ジェルくんの浮気疑惑が本当か確かめるため』だ。

その疑惑が生まれたのは一本の電話だった。






ーーー


一週間前。

私の友達から電話が来た。

友達とは……莉犬。

莉犬「……A」

いきなり莉犬から電話がかかってきて。

『もしもし』も言わずに、『A』と言われて驚いた。

「…なに？」

なにか深刻なことなのかな、と思わず身構えてしまうほどで。

ちなみに、電話した場所は公園。

たまたま帰りに公園で休んでたら電話がかかってきた。

莉犬「…ジェルくんとまだ付き合ってるの？」

「そうだけど」

莉犬「ジェルくんさ、浮気……してるかも」

「は？」

このあと、莉犬は『もしかしたら勘違いかもだから！絶対とは言わないけど、可能性はあるよって話！』って言ってた。

別に、勘違いだったら、怒るとかじゃないし、違ったら違ったで、喜ぶけどさ。

でもね……なんか納得できちゃって。

確かめてみることにして……今に至る。

ジェルくんを私は信じてる。

浮気なんかしてないって。

でも…違ったら？浮気をしてたら？




それは……









ジェルくんの全てを私に捧げてね？

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