才媛のヴァイオリニスト[Alan_S] (ページ19)

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亜嵐side ページ19

亜嵐side

亜｢.....え｣

涼｢なんだ...今の.....｣

龍｢...｣

音楽雑誌の表紙になるくらいなのだから、1年間のブランクがあってもある程度弾けるだろう。

なんて思っていたのに...

Aの演奏は想像を絶するものだった。

なにか風のような音の波のようなものが一気に押し寄せてきて、あっという間に引き込まれる。

隼｢.....すごっ！すごいよ！感動した！｣

玲｢思ったよりも全然上手かったし。｣

裕｢なんか俺たちしか聴かれへんってのが悔しいくらいやわ。｣

龍｢言葉が出ません。｣

『本当に？.......ありがと(ﾌﾆｬ』

演奏中の鋭い目やしなやかな体の動きとは打って変わって、ふにゃりとした柔らかい表情で笑うA。

なぜだかドキッとしてしまった。

これがいわゆるギャップ萌えというやつか。

亜｢すごかった。俺も頑張らなきゃね。｣

『そうだよ。これでお手本になったかはわかんないけど、真面目に弾いてよ？』

亜｢もちろん。いつでも真面目さ。｣

『よし、じゃあ...』

亜｢ごめん!! 本当に悪いんだけど、続きは明日じゃダメかな？｣

『いいけど。何かあるの？』

亜｢Aの演奏聴いてたら興奮して胸の動悸が...｣

『何言ってんの！ってか呼び捨てしていいなんて言ってな...』

亜｢裕太くんは良いのに俺はダメなんだ～｣

『うっ...』

亜｢あー、悲しー。
家に帰ったらママンに泣きついちゃおうかなー。｣

『ふっ.....ママンって...笑』

亜｢冗談だって笑じゃあね。｣

『うん、また明日。』

本当は用事があったけど、Aには言えない秘密の用事だから話を逸らしてさっさと退散した。