才媛のヴァイオリニスト[Alan_S] (ページ14)

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取引ページ14

亜｢俺にヴァイオリン教えてよ。｣

『...っ！』

白濱亜嵐の手には、私が幼い頃に表紙を飾った音楽雑誌が。

白濱亜嵐は勝ち誇ったような顔をしてさらに近づいてくる。

伸｢あれ？今度は何の用だ？｣

『のぶくん！』

亜｢のぶくん！？｣

伸｢あぁ！見つかっちゃったかぁ.....｣

白濱亜嵐の驚いた表情、のぶくんのやっちまった顔を交互に見ながら混乱する私の顔。

どうやらのぶくんは私の雑誌をずっと隠し持っており、白濱亜嵐が見つけてしまったらしい。

亜｢のぶくんって.....どういう関係？｣

『おじさん。』

亜｢おじさん？｣

伸｢そう。その雑誌、返してくれる？｣

亜｢あぁ。すみません。｣

伸｢.....あっ！｣

『嫌な予感がする。』

のぶくんは白濱亜嵐から雑誌を受けとるため歩いていたが、あることを思いついたかのように立ち止まる。

伸｢君白濱くん？｣

亜｢はい。｣

伸｢ヴァイオリン担当だよね。｣

亜｢そうですね。｣

伸｢この表紙見ちゃったよね？｣

亜｢見ちゃいましたね。｣

『無理』

伸｢ヴァイオリンのコーチほしいよね？｣

亜｢ほしいですね。｣

『無理無理無理！何勝手に決めてんの！』

のぶくんは白濱亜嵐と同じ悪い笑みを浮かべて私に向き直った。

伸｢白濱くんにヴァイオリン教えないならここは立ち入り禁止。｣

『え？』

亜｢教えてくれないならこの雑誌教室に置いてこようかなー。｣

『は？』

亜｢教えてくれますよね？(ﾆﾔ｣

『...私は弾かないから。』

伸｢弾かなくてもアドバイスくらいはできるだろ。｣

『絶対バラすなよ。』

亜｢ちょっと顔怖い～｣

伸｢よし、決まりだな。｣

亜｢じゃあ明日GENE部屋｣

『は？』

亜｢は？って何？あの教室は窓もないし、防音でGENEしか入れないからいいでしょ？｣

『いや、GENE入れんじゃん。』

亜｢え？あいつらにもダメなの？｣

『ダメに決まってるでしょ！』

伸｢Aんちでいいじゃん。｣

『はい？』

伸｢昔やってたから防音の部屋あるし。
一応まだ換気とかしてるから、ヴァイオリンも調弦すれば使えるでしょ？｣

『だから弾かない...』

亜｢じゃあ放課後おじゃまします！｣

本当に話を聞かないふたりは、勝手に話を進めて結局うちに来ることになった。