コペンハーゲン (ページ7)

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Ryosuke：

笑うことがなくなった
怒ることも、悲しむことも
感情をどこかに置き忘れたんだと。
考えることを放棄した。
そんなモノクロの世界に色をつけてくれたのは兄さんで。兄さんといれば笑えたから。それだけで俺は幸せだったよ。
＿＿＿ありがとう。
もう、十分だ。最後の時間を兄さんと一緒に過ごせるなんて、それだけでもう、十分だ。
まだ明るみ始めたばかりの午前4時の空に別れを告げて、俺は奴らの元へ向かった。
『兄さん、ありがとう。さよなら。』
そう、留守電だけを残して。

Kota：

目を覚ました時には遅かった。
涼介も、涼介がいた日常も、そこにはなにもなかった。もうここには用はないとでも言うように。ただ虚しさと哀しさだけが揺蕩っていた。
考える前に身体が動いて外へと飛び出す。
頼むからまだ近くにいてくれと電話をかけるも繋がらない。
息を切らしたまま立ちすくむ俺の横を風がすり抜けて行った。