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Kota:
白で統一された部屋は相変わらず整頓されていて、俺の部屋とは比べものにならないくらいに綺麗だった。
寝室に向かえばベッドに涼介を寝かせる。
涙が乾いた跡が痛々しくて、そっと頰を撫でた。
涼介は、俺が今までに見た誰よりも綺麗だと、ふいにそんなことを思う。
コートとジャケットを脱がせ、ネクタイをほどき、ボタンを開けてやってから布団を掛け寝室を後にし、とりあえずソファーを借りて俺も眠りについた。
「……ん、…さ、……さん、にいさ、兄さん、兄さん、」
声に気づいて重たい瞼を開ければ目の前には涼介が。
「ぁ、お、おぉ……おはよ、」
あわあわしながらもとりあえず体を起こす。
「ふふ、おはよ。もう朝だよ?」
時計を見れば11時。
朝ごはん作ったから、と微笑む涼介がたまらなく愛しくてそっと抱き寄せる。
体勢を崩してソファーなだれ込む涼介をぐっと抱き止めた。
「もー、なんですかー?」
にこにこと笑うその顔に偽りは見えなくて、ほっとした。
なのに、なんで……
「ごめんね、ありがとう、兄さん。」
ねぇなんで……
「さようなら」
俺を、置いていかないでよ、涼介…
俺がこの留守電を聞いた頃、あいつはもう……
忽然とどこかへ消えてしまっていた。
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作者名:maa | 作成日時:2019年2月8日 22時