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Kota:
仕事をやめてからの涼介は、
また昔のようにあどけない笑顔を見せてくれるようになった。
それでもふとした瞬間寂しそうな顔をするのは俺の思い過ごしか…?
仕事が長引いて1時を回った頃に帰宅したある日、
リビングにも涼介の部屋にも涼介がいないことに気づいた俺は焦りから乱れる息を必死に整えながら家の中を探す。
涼介がいたのは俺の部屋だった。
俺の布団にくるまって眠る涼介の頬には涙の跡。
あぁ、また、1人で何か抱え込んでるんだ。
明日は休みだ。ゆっくり話を聞こう。
そう思って無理に起こさずそっと隣に潜り込み優しく抱きしめながら眠りに付いた。
▽▽▽
ふと目を覚ませば外はもう明るくて隣は空っぽで。
トントントントン、
涼介の包丁の音がして安心してぐっと1つ伸びをした。
「ね、今日の味噌汁なに?」
背後から覗き込むようにすれば
「わぁ、」
と驚いて俺を見て
「今日は大根とお麩です〜」
なんてニコニコしながらまた手を動かし始める。
「ご馳走様でした。」
食事の後の食器洗いは俺の担当。
涼介はちょこちょこと部屋を動いて
俺の分まで洗濯物をたたんでは仕舞ってくれる。
でもなんだか今日はどことなくぼーっとしていて。
1度たたんだ洗濯物をまたたたみ直していることにさえも気づいていない。
「ねえ涼介、それもうたたんであるけど?」
「ぁ…へへ、」
あぁ、嘘つくの、相変わらず下手だな。
困ったようにへらりと笑う涼介に、やっぱり俺の思い過ごしなんかじゃないと確信する。
「ねえ、涼介。なんか俺に隠してることあるでしょ。ちゃんと教えて?」
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作者名:maa | 作成日時:2019年2月8日 22時