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「ただいま」
「アンタ早いね、Aはまだ上がってないよ」
「…そーかよ、……さんきゅーな」
「何だい気持ちの悪い。言っとくけどアンタのためじゃないさね」
「分かってらァ」
あの後、Aちゃんには風呂に入ってもらって、俺は銭湯に足を運んだ。
申し訳ないと彼女は全力で断ろうとしてきたけど、引くわけにはいかなかった。
今彼女を外に出すのは、少し気が引けた。
…ってのもあるが、それだけじゃねェ。
絶対無理。
Aちゃんの後に風呂入るとか恐れ多すぎて無理。
気持ち悪いと思われたくないし。
Aちゃんを一人置いていくのは躊躇したが、ババアに一緒にいるように頼んだ。
ババアも孫のように思ってるAちゃんのことならと、素直に聞いてくれた。
「あの…、上がりました」
ひょこ、と顔を覗かせた彼女の頬は僅かに染まっていて、貸したスウェットもやっぱり大きくて。
(かわい、……)
そんな場合じゃないってのに、どうしようもなくかわいいと思ってしまうのは不可抗力だと思う。
「あ、帰りに屁怒絽サンには言っといたから」
「…!ありがとうございます…」
「えらく安心してたぜ。泣き出しちまいそうなくらいに」
「…屁怒絽さん、」
「それじゃ、アタシは行くよ」
「おぉ、さんきゅ」
「お登勢さん、ありがとうございました…!」
「アンタ、Aに変なことしたら許さないよ」
「ばっか、んなことしねェよ」
「はいはい」
これだから年寄りはいけねェ。
ぴしゃん、と閉まった扉と、流れる沈黙。
今だ浮かない顔をしている彼女に、俺はどう声をかけるべきか分からず、ただ曖昧に笑うことしかできなかった。
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日向(プロフ) - 由菜君さん» わああ嬉しいです…!!!キュンキュンして頂けて良かったです!ありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 381さん» そう言っていただけてとっても嬉しいです!!こちらこそ素敵なコメントありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
由菜君 - めちゃくちゃキュンキュンしました、、!すっごく良かったです! (2021年2月9日 21時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)
381 - 神楽ちゃんがおもしろくて、、、一気に読ませていただきました!とっても素敵な作品をありがとうございますッ! (2021年1月25日 21時) (レス) id: 664ca7d814 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - Kさん» まさにそういったものが描けたらと思って作った作品なので、そう言って頂けて本当に本当に嬉しいです…!ドキドキさせられて良かったです!こちらこそこの作品に出逢って頂いてありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2020年11月1日 19時