立花彩、歌い手始めました。【KZ】【utit】2nd

ななじゅうなな ページ28

彩side



その後彼と二人でメンバーが待つ部屋に移動した。
隣からスキップしそうなくらいテンションが高い声が聞こえる。
でもきっと彼なりに、周りに心配を掛けまいと気を遣っているからなんだろう。


皆と合流して最終の打ち合わせ。
顔を上げると誰一人として気を抜いていなくて、真剣な空気に私は少し笑った。


「彩ちゃんはゲストだから、ライブ中盤に出てくるんだよ」


そらるさんに言われてここはしっかりと力強く頷いた。


「彩ちゃんの出るタイミングってどこなん？」


おい坂田、という声が皆から聞こえたような気がした。
どういうこと、？


「……彩ちゃんにも言おうか」


まふくんが私の方を見て口を開いた。



「あのね、彩ちゃんの出るタイミング、はっきり決めてないの」



そんなことあるものなのか。だから、何時に出番なんて言われてないのか……とも納得は出来た。


「大丈夫やって！彩ちゃんやったら最初からおっても良いくらいやろ！」


志麻さんの一言で場が和んだ。
流石にそれは無いけどね、お断りします。




時間は早いものだ。あと開演まで十分程_____
舞台袖、いや楽屋前の廊下といったところか。


メンバー全員で円になって一人一人意気込みを言っていく。
全員が言った後はお決まりなのか、まふくんの掛け声が。


「今日の本番を最高のモノにするためには皆さんの力が必要です！皆さんと一緒になって頑張りましょう！」


手を重ねて、重ねて、重ねて……
六人の手が重なるのを見て、私もそっと手を乗せた。



「行くぞ！」
「「「「「「おおー！！」」」」」」



笑顔が広まった。緊張していたのも忘れるくらい。
スタンバイに行く皆を笑顔で見送る。
ありがとう、と言い残してスタンバイする様子を見て嬉しくなった。


「彩、自信持って頑張れ」


そう言って肩を温かい手で叩いてくれたのはうらたさん。


「うらたさんのことも応援してます!!」


背中に向かって言うと、振り返って笑ってくれた。
よし、私も頑張らなくちゃ。









開演は、もうまもなく__________

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