立花彩、歌い手始めました。【KZ】【utit】

ろく ページ6

彩side



その時私のカラオケルームにノックの音が響いた。
不審に思って身構えているとドアの向こうから、


「あの〜ごめんなさい、隣の部屋使ってる人なんやけど……」

という優しい声が聞こえてきた。


「入ってもええかな……？」

直感で大丈夫そうな人だろうと思った。
本来ならばいけないことなのだろうけれどもうこのご時世ならばいいだろう。誰も心配もしないし困りもしないのだから。


「どうぞ、」

私の返答の直後ドアの向こうから現れたのは……


「さ、坂田さん……」


私の好きな歌い手さんの一人、坂田さんだった。
こんな偶然あるものだろうか。


「俺の事知ってたんや〜ありがとう!!」


そう嬉しそうに言う姿は可愛らしかった。
でも私は戸惑っていた。


「え、どうして……」

どうして彼が此処に来たのかが分からなかった。


「ああ、そうやった、説明するわ」


あ……ありがとうございます。
そして説明が始まった。


「俺ら……あ、そらるさんとまふとうらたさんと来てるんやけど、」


凄いメンバー!!
ってことは、今隣に居るんだ!!


「隣やから俺らが歌ってへんかったら多少聞こえるやろ？」


それはつまり……
「私の声が聞こえてた、という事ですか…」
「そう、当たり〜!!」


それは大変なことだ。有名な歌い手さん達にこんな下手くそな歌声を……
なんて私が絶句しているのも気にせず話が再開する。


「で、聞いてたらボカロ歌ってくれてたやろ？それに、」


それに……？


「めっちゃ歌上手いな!!」
「……え、？」


聞き間違え、ってことはないよね…


「ほんまやって!!歌上手いなあって皆で言っててさ、どんな子やろうって話になってたんやで」

ええっと、話に付いて行けないのだけれど、、
あの大手歌い手様があたしの歌を褒める??
必死に頭を回転させても理解できない……


「せやけど……」


ん…？






「……なんかあったん？」

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