【ヒロアカ】死柄木弔の忠犬６ (ページ10)

今日:19 hit、昨日:43 hit、合計:37,648 hit

252 ページ10

　
　
「大丈夫さ、僕は弔の思いを何より尊重している！」

そう言われて素直にはいそうですかと納得できるものか。
オールフォーワンは弔さんにとって恩師であったはずではあるが、今はどうにも信用ならない。
弔さんの体で何をするつもりだ。
そもそも2人が一体化？しているのは弔さんが望んだことなのか。

「君は今までも弔を守ってくれたじゃないか」

駄目だ、分からないことが多すぎる。

「…ごめんなさい、少し1人にさせてください」

現実も自分の思考も目の前の人間が何を考えているのかも、何も分からない。
受け入れきれない情報量に頭の処理が追いつかなくなっていた。
ふらふらとした足取りで弔さんの横を通り過ぎる際"あまり勝手はよしてくれよ"と笑いながら言う彼にどうしようもない絶望感を突きつけられた。

「…あなたが、それを言うんですね」

言葉は涙で震えていた。
彼の次の言葉を聞く間も無くその場を離れた。
一刻も早くあの人の前から去りたかった。
たった一言で痛感したのだ。
弔さんがあんなこと言うはずがない。
自由に生きることを教えてくれたのは他でもない、あなたじゃないか。
あれは弔さんなんかじゃない。

弔さんの体で何が起こっているのか、私は知る必要がある。
目尻に溜まった涙を乱暴に袖で拭った。
悲観している場合じゃないだろう。
落ち着いて考えれば、少なくとも私の本能は彼をまだ主として認識していた。
あの身体に弔さんはまだ存在しているはず。
しかしオールフォーワンは本体の身体がありながら弔さんの身体にも宿っているなんていったいどんな手術をしたのか。
わからないなら聞くまでだ、手術を施した張本人に。
　
　
　