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「…何故？個性は失ったはずだ」
「個性なんか関係ない…！守るべき人は自分の意志で決める…！」
オールフォーワン本体の呆然とした呟きに、地面を這いながら言い返した。
個性なんてなくても私の弔さんへの気持ちは変わらないし、これまでが無駄になったなんて言わせない。
「私は弔さんを愛してる！愛した人を守って何が悪い…！」
これまでの私は個性に囚われすぎていたのかもしれない。
個性なんてなくても私は私。
「弔さん…！あなたもあなたです！
どうか憎しみに囚われないでください！」
個性が強ければ偉い？無個性は悪い？
そんなこといったい誰が決めた。
「これからは嫌なことがあったらその都度私に言ってください。目一杯吐き出して、そんでスッキリしたらパーっと遊んで辛いことは忘れちゃいましょう！それでいいんですよ！」
個性がなんだろうがなかろうが、私たちは人間だ。
個性に縛られる必要なんてない、誰もが自由に生きる権利がある。
それを邪魔するものは全部ぶっ壊せ。
「その時は私がそばにいます、必ず」
跪く彼のそばまでたどり着き見上げた時、
「ァ…ボ、く…」
目の前の成人男性がまるで幼い子供のように見えた。
大きく見開いた瞳から涙を溢れさせ、蹲って泣いている小さな少年。
その姿はまるでかつての自分を見ているようだった。
あの夏、誰にも理解されない苦しみに泣くことしかできなかった私。
そんな私に手を差し伸べてくれた、欲しい言葉をくれたのは…
「…志村、転弧さん」
弔さん、私もあなたみたいに
「あなたはヒーローに＿＿＿
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作者名：さかさま | 作成日時：2022年6月13日 23時
