【ヒロアカ】死柄木弔の忠犬６ (ページ42)

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ようやく奴に一撃喰らわせてやった、と思ったのも束の間すぐに追撃を仕掛ける。
傷が回復していないのを見るに、蛇腔戦での弔さんのような超再生を有していない。

「観念…しろっ！」

見事に形勢逆転、肉弾戦は比較的不得手なオールフォーワンは防戦一方だ。
しかし私自身も怪我の多さからきっと長くは保たない、畳み掛けるように次々と攻撃を繰り出し早期決着を試みる。

「これでは…少し分が悪いなぁ…」

さすがに少しは焦ってくれているようだ。
実際、このバトルフィールド自体オールフォーワンには不利だろう。
洞窟内では空間が制限されすぎているため奴お得意の遠距離攻撃にも限度がある。
さらに空に逃げることもできない。
こちらとしても空中戦に対応できる人員はいないのでかなり好都合だった。

「…君は自己犠牲の精神が強いようだね」

突然そう切り出された。
この状況で悠長に喋る奴に言いようのない気味の悪さを感じた。

「自身が傷つくことにあまりに抵抗がない、だからあんな捨て身技もやってのける」

なんだ、何が言いたい？
攻撃の手を緩めないなかで、血が滴る奴の顔が笑っていることに気がついた。
その瞬間ゾッと全身に悪寒が走り、何かを企んでいると確信して一瞬怖気づいてしまった。

「けれどもし…傷つくのが大切な人だったら、君はどうするかな？」

私の大切な人、そう思い至った時すでに奴の黒爪は彼に向かっていた。
そして私もまた、オールフォーワンには目もくれず走り出していた。
思考するより先に体が動いていたのだ。

「弔さんっ！！」

目の前に飛び出してきた私の呼び掛けで僅かに顔を上げた彼と目が合って、何故か私は自然と笑みが溢れてしまった。
直後、身体を貫く激痛で地面に膝を落とす。
よかった、弔さんに怪我はなかった。
そう安堵しながらも自身から溢れる赤い水溜りが広がっていく様に、身体の限界を感じていた。
　
　
　