【ヒロアカ】死柄木弔の忠犬６ (ページ41)

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黒爪が器用に背後に回り込み背中を刺されたのだと気づいた時には遅く、私は奴の体から引き剥がされ放り投げられていた。
受け身を取れないと思ったが後方のミスターに受け止められてなんとか衝撃は和らいだ。

「なんであんな無茶すんの！死んじゃうでしょうが！」

「でもマスク壊せましたから…結果オーライってことで…」

引きつった笑顔でそう言ってみせるとミスターは諦めたようにため息をついた。
たしかに一度の特攻で体は傷だらけだ。
出血量が多いのに傷口はじくじくと熱くて、寒いのか暑いのか自分でもよくわからないことになっている。

「…もう一回やります」

「だから死んじゃうって！」

「手を貸してください」

仮面越しの彼の瞳を見つめ訴えかけるとやれやれといった様子で再び大きくため息。
それを同意と都合よく解釈してニッと笑うと休む間もなくオールフォーワンの攻撃が降りかかってきた。
直後、バツンッと空間を切り取る音とともに視界は一変し圧縮されたのだと理解した。
ミスターって案外お人好しというか押しに弱いよなぁなんて考えつつ、わずかに与えられたインターバルの中で上着脱いで爪で切り裂いた。
布切れになったそれを左腕の傷口に巻き付けひとまずの止血に使い、準備を整えるとちょうどその時はきた。

「っ！」

ミスターの指を鳴らした音が洞窟内に反響していた。
あたりに散らばる瓦礫、そして目の前にはオールフォーワンの後頭部。
おそらくあたり一面に球をばら撒いて奴を撹乱したのだらう。
いつかの掘削で大量にストックされていた瓦礫たちはフェイク、まさかこんなところで役に立つとは。
一瞬で状況を理解し、奴の死角にイリュージョンさせられた私は右手に強く力を入れた。

「ガラ空きだ！！」

奴が振り返ろうとしたその瞬間、振りかぶった爪先が皮膚を抉り血飛沫が上がった。
　
　
　