242 ページ49
3月も半ばになった頃、遂にその時は訪れた。
本来であればアジトで各隊長が集まる定例会議が行われる予定の今日、突如として地下にまで大きく響く振動に全てを悟った。
いつか来るとはわかっていてもいざその時になるとそれなりに驚くものだ。
超常解放戦線の中でも主戦力である各隊長が一堂に会するこのタイミングに奇襲をかけたのは恐らく故意、ヒーロー側も今回の奇襲で我々組織を完全無力化する気であるのは明白だった。
「…来ましたね」
「すげーホントに来た」
神妙な空気の中荼毘さんだけが緊張感なく隠れ家の入口に耳を澄ませている。
他のみんなも各々の装備や戦闘準備を整え始め、私自身も真新しい刀を手に取り腰のベルトに差し込んだ。
解放軍がヒーローの相手をしてくれている間に装備を整え、あとは計画通り弔さんを作ってマキアに命令してもらえば…
「大変だ！死柄木が！！」
「どうしたんですか仁くん？」
トゥワイスさんたちの中の一人が突然大きな声を出し、何事かと真っ先トガちゃんが首を傾げて歩み寄る。
「死柄木が作れねぇ！消えちまう！」
トゥワイスさんはそう叫び、手をかざして弔さんを作り出す。
どろどろとした液体は徐々に弔さんの形を成していくが頭から爪先まで再現した途端、動き出すことも喋り出すこともしないまま一瞬で崩れ去った。
その光景に一同は目を丸くすると同時に当然焦りだす。
「ほらな！？」
「な、なんでですか！？」
「わかんねぇ！けど最後に測ったのは手術直前だ！作れないわけがねぇ！」
トゥワイスさん自身も作れないとは思っておらず混乱しているらしい。
「弔くんも成長期なんですか？」
「さすがにそれはないでしょトガちゃん」
「あいつに何かあったのか…？」
しかし作れない理由があるとしたらそれは弔さんの身に最後に測った時から大きな変化があるということで、主の身に何が起こっているのかという心配と胸騒ぎに支配される。
さらに弔さんを作れないことにはこのマキア軍団も意味がない、予想外の事態に計画が狂ってしまい呆然とした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 470人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さかさま | 作成日時：2022年4月20日 22時
