【ヒロアカ】死柄木弔の忠犬５ (ページ4)

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「見ろよお前ら…タワーが近いぜ」

解放戦士たちを撒いてタワーに近い大きな通りに出たかと思えば、そこにはこれまでの倍近い人数で待ち構えていた。

「どんどん増えてねぇか！？」

「よほど大事なものを守ってるんでしょうね…！」

やはり、先ほどからタワーに近づけば近づくほど人が増えている。
はじめに花畑が言っていた言葉を裏付けるには十分だろう。

「…っ！足音多数！増援かもしれません！」

「まだ増えるのかよ…！」

全方位から容赦なく降りかかる攻撃を躱しつつ、マキア用のために殺しすぎないよう気をつけながらタワーに向かって少しずつ進んでいると数十人いや数百人規模の足音がこちらに向かっているのが聞こえた。
みんなとははぐれてしまっていま一緒にいるのは私と弔さんとスピナーさんだけ。

「おーい！」

このままではまずい、と思った矢先に聞き覚えのある声に動きが止まった。
あれ、そういえばこの匂いって、

「無事かお前らー！」
「助っ人参上！」
「皆殺しの時間だぜ！」

「なっ…トゥワイスさん！？…が、たくさん！？」

「多くね！？」

「おいおいマジか…」

足音の正体はその全てがトゥワイスさんだった。
何事かと一瞬理解が追いつかなかったがまさか、

「増えたのか！」

「ああ！これで少しは役に立つかなリーダー！」

トゥワイスさんが個性で自身を作ることができないのは連合メンバーにとって周知の事実だった。
原因が過去のトラウマのせいであることも、その影響で言動がちぐはぐであることも。
だからこそ困惑した。
まさかこの戦いの最中にトラウマを克服したとでもいうのか。

「すごいぜトゥワイス。ついでにタワーまでの道拓けるか？」

「任せろ！」
「おめーは俺に揺られて寝てろ！」
「待ってろ義爛すぐ行くぜ！」

文字通り百人力、いやそれ以上だろう。
一気に街は見渡す限りトゥワイスさんだらけになって解放軍との戦況が途端にひっくり返った。
次々と現れる敵の増援をものともせず、むしろそれを凌駕する勢いで増えていくトゥワイスさんたちのおかげで私たちは後方ですっかり手持ち無沙汰になってしまった。

「…もうトゥワイスだけでいいんじゃねぇか？」

「いーや…あいつは義爛を好きすぎる…」

ゾクリ、と背筋に悪寒が走り反射的に弔さんを振り返った。

「人の心を弄びやがって…許せないぜ解放軍」
　
　
　