【ヒロアカ】死柄木弔の忠犬５ (ページ3)

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塀にもたれかかり嘔吐した弔さんは目が虚だった。

「え、いま…」

あまりに一瞬のことで理解が追いつかずスピナーさんと顔を見合わせるもまともな言葉を発することができなかった。

弔さんが塀に乗り上げ腕を横薙ぎにしただけで、さっきまでそこにいたはずの解放戦士たちが崩壊した。
その証拠に弔さんの背後には崩れ落ちた4,50人分の肉塊が転がっている。
今の一瞬で全員に五指で触れるなんて不可能で、というよりこの目にはまるで崩壊が触れ合っている人同士に伝播していったように見えた。
見間違いかと思ったがたしかに…

「ゲホッ」

「…っ！弔さん！」

呆然としている場合ではない、我に返った私はすかさず弔さんに駆け寄り背中をさすった。
あまりの極限状態に体に異常をきたしている弔さんを介抱しているとスピナーさんも我に返ったようで心配気に弔さんを見つめていた。

「…行くぞ」

私たちの不安を感じ取ったのか弔さんはそれだけ言うとお父さんの手をポケットにしまって歩き出してしまう。

「…はい！」

弔さんの個性も体調も気がかりではある。
けど今私にできることは、タワーにたどり着くまで少しでも弔さんの負担を減らしながら進むしかないのだ。

「死柄木…お前、大丈夫か！？」

さっきまでふらふらだったのに急に覚醒したようにタワーへ向かって駆け出した弔さんに尚も心配そうにスピナーさんは言った。

「お前は？待ってた方がよかったか？」

住宅街を抜けると再び待ち受けている解放戦士たち。
マキアにぶつけるためにも殺しすぎはよくないが手加減している場合でもないと、襲いかかってくる人々を斬りつける。

「この街に来なけりゃ通報されて大量のヒーローたちに追われてた。どっち選んでもピンチだったろうよ！」

「そうなんだよなぁ…ハメやがって」
　
　
　