【ヒロアカ】死柄木弔の忠犬５ (ページ12)

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「おい、Aちゃん…？」

トゥワイスさんの声でハッとした。
振り返るとそこには心配そうに私を覗き込むトゥワイスさんがいて、背景にはさっきまで聳え立っていたはずのタワーがなくなっていた。

手に持っているナイフは柄まで真っ赤に染まっていて、生暖かい液体がじんわりと服に染み込んでいく。
そこでようやく私は自分がまたがっている死体の惨状に気が付いた。
無数の刺し傷で顔は原型を留めていないし体も同様。
もう弔さんへの強い殺意は感じなかった。

「…すみません、こんな時に。ボーッとしてました」

「おう！それがさっきまでここにいた奴ら全員引き返しちまってよ」

「引き返した…？」

それはおかしい。
今まさにこの先で弔さんとリデストロが戦っているはずなのに。
タワーが崩壊したということはそういうことだ。
引き返す用があるとすれば…

「…！マキアの匂いがします！こっちに…いや、弔さんの元に向かってる！」

「ハァ！？まだ起床にゃ早ぇぞ！？」
「珍しく早起きしやがって！」
「今のうちにみんなと合流しようぜ！」

物凄い速さでマキアが近づいてくるのがわかる。
しかしおかげで解放軍を引き付けてくれているようだし、みんなと合流するならこの隙しかない。
まずは一番匂いが近いスピナーさんと合流しようとトゥワイスさんたちと動き出して少しした時だった。

「…地鳴り？」

マキアの奏でる破壊音とは違う。
次々と何かが砕けて弾ける音。
弔さんのいるはずの方向から聞こえてくるそれにまさかと思いきや、そのまさかだった。

「っ…！」

走りながら振り返り見えたのは遠くから徐々に倒壊していく建造物。
伝播し全てを崩壊させる波が押し寄せていた。
　
　
　