【ヒロアカ】死柄木弔の忠犬５ (ページ2)

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「車です！突っ込んできます！」

住宅街を猛スピードで走ってくる一台の車。
私たちを撥ね飛ばすつもりかと警戒していると真正面に回り込まれ道を塞ぐようにして停車した。

『皆さん！大変悲しいお知らせがございます！』

「選挙カー！？」

よく見るとただの車ではなくスピーカーが積まれた選挙カーで、先ほども現れたスーツの男こと花畑が声高らかに演説を始めだした。

『キュリオス氏が斃れました！彼女は解放にその身を捧げたのであります！！』

花畑がそう言うと途端に解放戦士達は悲壮感漂う叫び声を上げ中には涙する者まで出始めた。

「キュリオスって…誰ですか？」

「さっきの女じゃね」

言葉の意味がわからずそう呟くと荼毘さんが軽くそう返した。
たしかにわざわざ個人の死を演説するくらいならさっきの幹部っぽい紫髪の女性のことかも。
奴らとの温度差を感じつつも理解したところではたと気づく。
ここにいる私たちはその女性を殺していない、ということはきっとトガちゃんが一人で…

「最高指導者はなんと！？」

『無駄にするなと』

花畑が言った途端解放戦士達が雄叫びを上げる。
その光景はまるでカルト宗教の教祖と信者のようで若干引いてしまった。

「なんなんですか急に叫びだして…！」

「なるほど…花畑が司教役で人を集めてるってことよ。軍っつーより宗教だ」

熱心に演説を聞いていた解放戦士たちは一斉にぐるりと私たちの方に向き直り、異常なほどに殺気と覇気を強めながら襲いかかってきた。

「勢い増してねぇか！？」

すぐ近くにいたはずが人並みに飲まれて姿を確認できなくなってしまったスピナーさんの声が聞こえてきた。
たしかに花畑の個性か何かで解放戦士たちが強化されているようだ。

「クッ…！」

あまりの人数に捌ききることができず人並みに押され負ける他ない。
まずい、奴らの狙いは…

「弔さん！！」

「死柄木ぃ！！」

私たちには目もくれず4,50人程の解放戦士たちがひとかたまりになって後方に控えていた弔さんに襲いかかっていく。
させるまいとすぐに体勢を立て直して私とスピナーさんで後を追ったが、目の前の光景にその足はすぐに止まってしまった。

「…え？」
　
　
　