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「お前なんか隠してんだろ」
廃墟で皆が寝静まった頃、今日の見張り番役の私のもとに弔さんがやってきた。
そんなことないですよ、と返そうとしたけれど暗闇に光る緋い目を見ると喉の奥に言葉が詰まって何も言えなくなってしまった。
「わかりやすいな」
「…冷えますから、中に戻ってください」
「嫌なら無理に言わなくていいけどよ」
その言葉とともに弔さんの雰囲気が一気に柔らかいものになって罪悪感が湧き上がってくる。
ふわりと弔さんの腕に包まれた。
落ち着く、安心する。
「大丈夫です。皆さんに迷惑はおかけしません」
「俺が大丈夫じゃないんだよ」
応えるように背中に腕を回すと弔さんの大きな手がくしゃくしゃと頭を撫でてくれて、上着に隠れた尻尾が少し揺れてしまった。
「お前が俺以外のこと考えてんのがイラつく」
「…ふふっ」
「何笑ってんだ」
私の世界はとっくに弔さんが中心で回っていて、いつだって弔さんのためを思っているのに。
いま考えていることだって、回り回って結局は弔さんを守るためなんだから。
きっと緑谷くんをはじめ雄英生は今後弔さんの障壁となる。
ならば私が表世界にケリをつけると同時に、可能ならその障壁を出来る限り取り除く。
全ては弔さんのために。
「俺のことだけ考えてろ」
「言われなくても弔さんのことしか考えてませんよ」
見上げると思っていたよりすぐそこに大好きな人の顔が迫っていて、引き寄せられるように唇を重ねた。
ちょっとカサついてて、でもやわらかい。
冷えた体がじんわりと温かくなっていく。
遠慮がちに首の後ろに手を回すと、優しく触れるだけだったそれが少しずつ強引さを増していく。
「んぅ…っ」
いつのまにか無遠慮に口内に侵入してきた舌先に弄ばれて息ができない。
弔さんの息遣いと口内で奏でられる水音が頭に響いてぞくりと体が震えた。
恥ずかしい、苦しい、でも幸せ。
キスのやり方なんてわからないから、されるがままに弔さんに溺れる。
けれど休む間も無く求められ続けて酸欠気味なのか頭がふわふわしてきて、胸を軽く叩いて限界を伝えるとゆっくりと離れていく熱が名残惜しく思えた。
無意識に閉じていた瞼を開けると互いの舌先から銀色の糸を引いているのが目に入って、唐突に今の状況に実感が湧いて猛烈な恥ずかしさに襲われた。
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さかさま(プロフ) - 音西旱さん» コメントありがとうございます。う、嬉しすぎます…；；とても励みになるお言葉です！これからも楽しんでいただけるよう頑張ります！！ (2022年2月13日 0時) (
レス) id: 3d4d7cceda (このIDを非表示/違反報告)
音西旱(プロフ) - いつも楽しく読んでます。一言、神です。毎日更新が楽しみで楽しみです！主さんのペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しております！！本当に好きです！！！最高かよ✩°｡ ⸜(* ॑ ॑* )⸝☪︎⋆｡˚✩ (2022年2月12日 0時) (レス) @page37 id: fd93f8e697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかさま | 作成日時：2022年1月15日 6時
