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今まで感じたことのない感覚が、耳の先からつま先まで全身を駆け巡った。
心拍数が上昇する。体温が上がる。血液が巡る感覚がする。雷に打たれたような衝撃とはまさにこのことだ。
私は彼を視界に捉えた瞬間、その場から動けずに立ち尽くしていた。
「犬塚くん！どうした！？早く避難を！」
学級委員長、飯田くんに肩を叩かれて私はハッとした。
気がつくとすでに相澤先生は敵たちに単身飛び込んで戦闘を開始しており、生徒たちは13号先生とともに出口へ向かって避難していた。
「あぁ、うん！ごめん！」
そうだ、緊急事態なんだ。何をぼーっとしているんだ私は。そう心の中で叱責しながら飯田くんを追うように走り出す。
何故かこの時私の頭の中では、父のあの言葉を思い出していた。
『爪を研いで己を鍛えた野生の犬が、仕えるべき主を見つけた時、その時ようやく私たちは立派な忠犬になれるんだ』
そして直感した。
ずっと理解したかった。
早く出会ってみたかった。
今この瞬間こそが、その時。
『急がなくても大丈夫、いつかAにも忠誠を誓うべき主君が現れる』
『その時になれば、言っていた意味がわかるはずだ』
何より、野生の勘が告げているのだ。
「あなたが、私の、、」
振り返るとそこには依然として佇んでいる。
わずかに青みがかった白髪と、白い手の隙間から覗く緋色の瞳。
その先の言葉を飲み込んで、前を向いた。
不安なのではない、恐怖したのではない。
この緊急事態の中で私だけが、確かに高揚していた。
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さかさま(プロフ) - まぶぴちょこさん» わー！とても嬉しいお言葉です！励みになります！ありがとうございます^^ (2021年12月29日 16時) (
レス) id: 24f9a11766 (このIDを非表示/違反報告)
まぶぴちょこ(プロフ) - この話めちゃくちゃ好きです！！続き楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2021年12月29日 9時) (レス) @page45 id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかさま | 作成日時：2021年12月24日 17時
