4話 ページ5
坂田side
「好きです。」
とっさに口から滑り落ちてしまった言葉。
しまった、と思ってももう遅い。
せ「坂田何言ってんの?」
口に出したのはセンラだけやけど、皆同じこと思ってると思う。
勿論俺も含めて。
う「すずらんさん一筋なんじゃねーの?」
うらさんの声には茶化しているような、困惑しているような複雑な響きがあった。
さ「当然やん!」
誤解をされては困る、と食い気味に答える。
ならなんで、と続けるのであろううらさんの声を遮り言葉を発する。
さ「この子の声、すずらんさんの声やねん!」
あー、確かに。
そう言って相槌を打ったのはまーしぃ。そういや俺が言いすぎて何回か歌聴いてくれたんやっけ。
し「まぁ何回か聴いただけやからあんまりわからんけど。」
それはしゃーない。寧ろ何回か聴いてくれただけ優しい。
貴「あの。さっきからすずらんさん?っていうのが誰かわからないんですけど...」
困った表情を浮かべるすずらんさん(仮)。
誰、と言っているけれどほんまに?
そりゃ、顔は見たことないけど何十、何百と、いやもしかしたら何千とその声を聴いてきてん。
すずらんさんの声なら聴き間違えへん自信がある。
俺がそんなことをぐるぐると考えている隣で俺から培った情報でうらさんが説明してくれている。
へぇー、と相槌を打ちながら話を聞くこの子は完全に他人事って感じやけど、腑に落ちへん。
その時キーンコーンカーンコーンと昼休み終了を告げるチャイムが鳴った。
さ「待って!」
足早に立ち去ろうとする後ろ姿に、行かすか、と細い腕を力を入れ過ぎないように気を付けて掴む。
さ「名前、教えてくれへん?」
貴「...Aです。」
少しの沈黙の後やっぱり綺麗なその声で名前を教えてくれた。
Aちゃんかぁ。
今みたいな困ったときにちょっと語尾に?が付きそうな言い方。
すずらんさんと一緒。
俺はまだすずらんさんじゃないって信じてないから!
納得できたらちゃんと諦めるからごめんやけどもうちょっと俺に付き合ってな。
「やっぱりすずらんさんの声好きやなぁ」
ぼそりと坂田が呟いた言葉と
「なんでバレたの...」
階段の下で小声で呟かれた言葉が発されたのはほぼ同じタイミングだった。
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わんぱん - すごい面白かったです!R○UND1の伏せ字が意味なさすぎて笑いましたー素敵な作品ご馳走様でした!*\(^o^)/* (2020年8月20日 20時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
すとぷり好きの坂田家 - 完結おめでとうございます! (2019年9月20日 23時) (レス) id: b21dfdda1d (このIDを非表示/違反報告)
わさ@こたぬきとまふラー - あ、気になるの気間違えた_(:3 」∠)_ (2018年10月12日 20時) (レス) id: 641f2c5402 (このIDを非表示/違反報告)
わさ@こたぬきとまふラー - んー!つづきが木になるっ!更新待ってます(*´ω`*) (2018年10月12日 20時) (レス) id: 641f2c5402 (このIDを非表示/違反報告)
しらすもちもち - ふおおおおおおお最後意味深ですね!余計この作品から離れられないですね!ww (2018年8月2日 8時) (レス) id: 0464177627 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:初。 | 作成日時:2018年7月29日 19時