36話 ページ37
坂田side
年月が経つにつれ、記憶も少しずつ薄れ、倒れること、体調が悪くなることは減っていった。
それでも家庭科での調理実習などで女生徒が包丁を持っているのは恐ろしかったし、たくさんの人からの視線も苦手であった。
もう人を好きになることは無いのかもしれないと思っていた頃、すずらんさんに出会った。
活動者とリスナーという距離感が良かったのかもしれない。
瞬く間に自信の中での彼女の存在は大きくなっていった。
会えることはないかもしれない。そんな自分の憶測は綺麗に裏切られ、実際に出会い、本当に好きになって。
きっと、活動者とリスナーなんていう距離感の問題ではなかったんだ。
Aちゃんと出会ってから、女性を怖く感じる頻度はさらに減っていた。
本当にAちゃんには感謝しかない。
けれど、この話をして、弱くないなんて言われるとは思っていなくて。
センラの影に隠れて過ごした中学時代。
高校に入り出会ったまーしぃとうらさんにもたくさん迷惑をかけた。
自分が一人では克服できない弱い人間なんだと信じて疑わなかった。
そう、ついさっきまでは。
あの件に関して、悪かったのは誰だろう。
それはきっと自分ではないはずだ。
では、弱かったのは誰だろう。
それはきっと、友達の影に隠れていたあの頃の俺だろう。
“本当に?”
弱くない、そう言われて気づいた。
きっと、誰かに少しずつ、前に進めて来ているのを認めてほしかったんだ。
少しずつ前進していることなんて、センラたちも分かってくれていたはずなのに。
Aちゃんに言われるまで気づかないなんて。
この話をAちゃんにして良かった。
例え、これが原因で振られることになったとしても。
「ありがとう。弱くないって言ってくれてありがとう。もし、こんな俺でも良ければ付き合ってくれませんか。」
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わんぱん - すごい面白かったです!R○UND1の伏せ字が意味なさすぎて笑いましたー素敵な作品ご馳走様でした!*\(^o^)/* (2020年8月20日 20時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
すとぷり好きの坂田家 - 完結おめでとうございます! (2019年9月20日 23時) (レス) id: b21dfdda1d (このIDを非表示/違反報告)
わさ@こたぬきとまふラー - あ、気になるの気間違えた_(:3 」∠)_ (2018年10月12日 20時) (レス) id: 641f2c5402 (このIDを非表示/違反報告)
わさ@こたぬきとまふラー - んー!つづきが木になるっ!更新待ってます(*´ω`*) (2018年10月12日 20時) (レス) id: 641f2c5402 (このIDを非表示/違反報告)
しらすもちもち - ふおおおおおおお最後意味深ですね!余計この作品から離れられないですね!ww (2018年8月2日 8時) (レス) id: 0464177627 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:初。 | 作成日時:2018年7月29日 19時