【31】 ページ39
「………私、ずっと憧れてた」
ぽつりと言葉が口から出た。
けど、それを言うと、心がスッと軽くなって心がきゅうっと締め付けられるように苦しくなる。
きっと、もうそろそろロンドン警察庁が来るだろう。
だから、最後に言おう。
「私、ずっと…お姉様の事、“憧れてたんだ”っ……」
泣きそうになるのを堪えた。
だって目の前のムゲットは目から大粒の涙を流し、床に踞り、大声で泣いたのだ。
私には泣く資格なんかない。
“憧れだった”。
たしかにここに来る前までは、“あの日”の前までは、お姉様は私の憧れであり、“お手本”“だった”んだ。
ただただ小さな部屋でムゲットの泣き叫ぶ声が響く。
それはとても残酷で、とても切なくて。
私は、ただただロンド警察庁を待つことしか出来なかった。
「……しかし…」
セバスチャンさんの声に新聞から目を離す。
すると、額に痛みが走った。
「あなたはどうして人を呼ばないのです。メイリンやフィニを呼んでいたらこんな事にはならなかった筈です。」
デコピンをされたようだ。
私の太ももに包帯を丁寧に巻くセバスチャンさん。
昨日、あの後ロンドン警察庁が来たのと同時にセバスチャンさんも帰ってきた。
服を“血”で染めて。
ロンドン警察庁に見つからぬように違うドアから屋敷に入ってきたというが……。
ロンドン警察庁にムゲットを渡した時、ムゲットはずっと無言だった。
目を真っ赤に腫らし、その後ろ姿はただただ……
悲しかった。
その後は本当に色々と忙しかった。
私が忙しかった訳では無いが……
足を怪我した私の代わりにメイリン達が私の分まで仕事をしてくれて、無事に夕方にはお客様達は帰っていった。
サングレがどうなったのかは知らない。
自分の部屋で寝る時、いつものベッドからは“懐かしい”臭いがし、とてもすぐに寝付けた。
まぁ、朝起きてベッドを見ると足の傷が開き、血だらけで今に至るわけだけど……。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←【30】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
理音(プロフ) - 更新して欲しいです！！待ってます！！ (6月21日 16時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年6月16日 21時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
優 - 面白いです!!続き楽しみにしてます!!頑張ってください！ (2018年4月3日 22時) (レス) id: 1e3d994a6e (このIDを非表示/違反報告)
一姫(プロフ) - 受験、おめでとうございます！ 頑張ってくださいね！ (2018年3月23日 14時) (レス) id: a04d87dde9 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - 面白いですね！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！ (2018年3月22日 17時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふらすこ | 作成日時：2018年2月5日 14時
