【29】 ページ37
ムゲットの後ろにいたバルドとメイリン、フィニ、スネークがムゲットを離そうとするが、私はそれを止める。
目の前のムゲットには怒りという感情しかなかった。
「私はもっと早くに、“認められていた”はずだった！！！！だけど、あんたが、あんたがいたから私は……全てあんたのせいでっ……」
ああ、ムゲットはもう、私の知っているムゲットではない。
笑顔が素敵で、優しくて、頼りがいがあって、私を誰よりもたくさん褒めてくれた、私の大好き“だった”お姉様。
だけど、それはもう……
あのときのお姉様の面影なんかない。
……私が、彼女を変えてしまったのだろうか。
私が、彼女の変化に気づかなかったから……。
いや、違う。
「………………それは…被害妄想に過ぎないわ。」
「は……？」
ムゲットの後ろにいるバルドが『どういうことだ……？』と首を傾げる。
そうか、バルドやメイリンたちは知らないのか。
「また……また私を馬鹿にするのね！！！！！！？昔っから、昔っから私を馬鹿にして……！！！！！！！！！！！！」
その声が私の身体の中を走る。
馬鹿にしたことなんて、一度もなかった。
今なら、言ってもいいだろうか。
一人の人間として、私は……
「……私は…………」
言って、言ってしまえば楽になる。
だけども、私とムゲットの関係はメイリン達にもバレてしまう。
それは……
「A、何を躊躇っている」
隣に座る坊ちゃんが紅茶を置き、私止めを合わせる。
その瞳はあまりにも美しく、あまりにも残酷な瞳で私は目を離せられなかった。
「お前はもうファントムハイヴのメイドだ。いつまでも過去にしがみつくな。」
『前に進めない』と坊ちゃんが付け足した。
ムゲットにいるメイリン達は何が何だか分からない、と言った顔をしている。
まだ食堂にいる客と話してくると言い、坊ちゃんはそのまま食堂に言ってしまった。
静かになった部屋で私は思う。
私はもう、“ヴィオラ・カリーフラナ”ではない。
タナカさんに新しい名を貰ったその日から私は“A”だ。
そう思った瞬間、心が軽くなった気がした。
手当してもらった足の包帯には血が滲んでいた。
少し痛む足。
けど、私は目の前のムゲットに向かって、言う
「私は……私はあなたを馬鹿にしたことなんてないわ。」
私の胸ぐらを掴むムゲットの手の力が少し弱まった。
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理音(プロフ) - 更新して欲しいです！！待ってます！！ (6月21日 16時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年6月16日 21時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
優 - 面白いです!!続き楽しみにしてます!!頑張ってください！ (2018年4月3日 22時) (レス) id: 1e3d994a6e (このIDを非表示/違反報告)
一姫(プロフ) - 受験、おめでとうございます！ 頑張ってくださいね！ (2018年3月23日 14時) (レス) id: a04d87dde9 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - 面白いですね！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！ (2018年3月22日 17時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふらすこ | 作成日時：2018年2月5日 14時
