【22】 ページ30
じゃなくて
「せ、セバスチャンさん」
頬をぴちぴちと叩くと目の前の“悪魔”は目を覚ます。
外の明るさに少し顔を歪めるがすぐに驚いたように飛び起き、枕元に置いていたいつもの時計を手に取り、時計を開く。
「……ふぅ…こんな外が明るいので寝坊したかと焦りました」
「……あのなんで寝てるんですか」
起きたセバスチャンさんから離れるように後ずさると、一瞬で視界が変わる。
背中から“床”に落ち、『いったぁっ……』と思わず声に出てしまった。
無様にベッドから落ちた私を見てセバスチャンさんは笑う。
「猫と寝ているあなたがあまりにも幸せそうだったので…猫と寝てみようかと」
「………“サングレ”は寝たことなかったです」
猫と寝てみようかとって私と寝てる時点でアウトだ。そういうのは他所でやってほしい。
それに、私は“あそこ”にいるとき、サングレが寝ているところを見たことがない。
常に夜中に起き、屋敷の中を朝まで毎日ホコリがひとつも残らず掃除し、朝には朝食を作り、そこから洗濯や食器洗い、そしてローザとスパーダの仕事の書類を管理し、チェックし、昼食を作り、そこからムゲットに勉強などを教え、晩食を作りてとにかくサングレは寝る時間がなかった。
なぜ、私が知っているのか、それは私は“寝られなかった”からだ。
いざ、寝ようとすればサングレにやられた“あの日の夜”を思い出し、夜は寝れず、勉強をしているときに寝てしまい、ローザや家庭教師に何度も“ムチ”で叩かれた。
夜中に眠れなかった私はいつも屋敷の中を足音を立てずに歩いていた。
だから知っている。
サングレは寝ない。
悪魔に、睡眠や食事は必要ない、と。
「悪魔でも寝ることはありますよ。まぁ、あくまでも嗜好品として睡眠を楽しむ、という事ですけど。」
「……嗜好品……」
そこで気づく。
数年、忌々しいと思っていた悪魔が、今こうして前にいるというのに私は“嫌悪感”を抱いていなかった。
セバスチャンさんだからだろうか。
悪魔だと知り、“やっぱり”という気持ちや“嘘だ”という気持ちがごちゃ混ぜになって混乱しているだけだろうか。
私は立ち上がる。
細かいことを考えていても、今は“意味”がない。
「さて、あなたもそろそろ着替えてきてください。」
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理音(プロフ) - 更新して欲しいです！！待ってます！！ (6月21日 16時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年6月16日 21時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
優 - 面白いです!!続き楽しみにしてます!!頑張ってください！ (2018年4月3日 22時) (レス) id: 1e3d994a6e (このIDを非表示/違反報告)
一姫(プロフ) - 受験、おめでとうございます！ 頑張ってくださいね！ (2018年3月23日 14時) (レス) id: a04d87dde9 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - 面白いですね！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！ (2018年3月22日 17時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふらすこ | 作成日時：2018年2月5日 14時
