【13】 ページ21
私は振り返る。
すぐ近くにあるムゲットの顔と、昔大好きだった、優しい、お姉様の笑顔と重なった。
ムゲットは『何か言いたいの？』とにやりと笑う。
ムゲットの左斜めに立つサングレは手を後ろで組み、私の動きを伺っている。
きっと、私が殴りかかった時、私を“殺す”つもりだろう。
サングレが後ろに隠し持っている“それ”は廊下の灯が反射し、それが“凶器”だとわかる。
……ナイフ……か。
私は目線をムゲットの目に戻す。
「ムゲット様。」
「……なによ、言いたいことがあるならさっさと言いなさいよ！！！！！！！！」
私の顔は今、笑っているだろう。“口”だけ、だが。
「私が立ち止まったのは雷が苦手で、少し驚いたからです。それに、」
「何強がっているの？？私達の本音を知って動揺したのでしょう？」
そう言ったムゲットは高いヒールで私の足を踏む。
「昔っから、ずっとあんたはそうやって強がって、私を馬鹿にしたっ！！！！」
グリグリとヒールが私の靴にグリグリとくい込む。
丁度足の親指のところを踏まれ、かなり痛い。
だけれど、ちがう。
「私はムゲット様を馬鹿にしたことはありません。それに……」
そうだ。私はもう、あの時の私じゃない。
“ヴィオラ”は死んだ。
あの日、坊ちゃんに拾われた日に、“ヴィオラ”は死んだのだ。
「私とムゲット様は今日が初対面ですので。」
次の瞬間、左頬に鋭い痛みが走った。
それはじわじわと痛みが広がり、熱を帯びる。
「ふっざけんじゃねぇよ！！！！！！！」
身体を押し倒され、馬乗りにされる。
ムゲットの顔には、ただただ“怒り”しかなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
理音(プロフ) - 更新して欲しいです！！待ってます！！ (6月21日 16時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年6月16日 21時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
優 - 面白いです!!続き楽しみにしてます!!頑張ってください！ (2018年4月3日 22時) (レス) id: 1e3d994a6e (このIDを非表示/違反報告)
一姫(プロフ) - 受験、おめでとうございます！ 頑張ってくださいね！ (2018年3月23日 14時) (レス) id: a04d87dde9 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - 面白いですね！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！ (2018年3月22日 17時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふらすこ | 作成日時：2018年2月5日 14時
