【過去4】 ページ14
彼はお姉様“専用”の執事となった。
理由なんか知らない。だけど、お父様とお母様がそう言ったのだ。きっとなにかある。
サングレはお姉様のピアノのレッスンや勉強などを教えていた。
「……ねぇ、ヌヴォラ」
おばあ様の執事のヌヴォラに話しかける。
少しの休憩時間にヌヴォラを借り、庭で花を取る。
「なんです？」
綺麗な黄色の瞳が私の目と合う。
私は静かに、声を潜めてヌヴォラに話す。
「……最近来たサングレって、“何者”なの…？」
私のその質問にヌヴォラは少し考え、こう言った。
「私と“同じ”執事ですよ。」
「………だけど、なんか……違うの……」
違うのだ、“人”と少し、違う。
それが何かはわからないが……。
ヌヴォラに話した数週間が、祖母が死んだ。
あまりにも、早く、あまりにも儚いものだと私は思った。
あまりにも悲しすぎて涙なんか出なかった。
祖母の葬儀の時の記憶なんてない。
ただただ、頭の中では祖母との思い出がスクリーンのように繰り返された。
涙を流さない私をみて兄は私に言う。
『お前は血も涙もないやつだ』と。
家に帰り、自分の部屋に戻るまで私はまだ現実味が無かった。
だって、あんなにも素敵な祖母が亡くなったのだ。
部屋に入り、少したってから私は叫ぶ様に泣いた。
布団に顔を押し付け、声が外に聞こえないように。
「お母様、ヌヴォラは……」
「何を言っているの？ヌヴォラって“誰”です？早く勉強しなさい」
祖母が死んでからヌヴォラが“跡形もなく消えた”。
ほんとうに、跡形もなく。
みんな、覚えていなかった。ヌヴォラの事を。
祖母が亡くなったショックで私はそれを忘れようと必死で、無我夢中でダンスやピアノ、ヴァイオリンを頑張った。
そして私はたくさんの賞を取った。
「お姉様、また私＿＿」
「ヴィオラ、お母様が呼んでいたわ。」
賞を取り、真っ先に姉に褒めてもらえるように私は“今日”も姉の部屋に賞を持っていった。
だが、姉の反応はいつもと違うかった。
とても冷たくて、どこか……
“あの日”の晩のことを思い出した。
あの日、あの時のお姉様の声。
とても低く、怒りの気持ちしか込められていなかったその声に、似ていた。
姉の隣に立つサングレはまるで人形のように立っている。
それがあまりにも怖くて、気味が悪くて＿＿
「お、おねえさ＿」
お姉様の肩を掴もうと腕を伸ばした瞬間、それが振り払われた。
バシッと痛々しい音がお姉様の部屋に響いた。
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理音(プロフ) - 更新して欲しいです！！待ってます！！ (6月21日 16時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年6月16日 21時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
優 - 面白いです!!続き楽しみにしてます!!頑張ってください！ (2018年4月3日 22時) (レス) id: 1e3d994a6e (このIDを非表示/違反報告)
一姫(プロフ) - 受験、おめでとうございます！ 頑張ってくださいね！ (2018年3月23日 14時) (レス) id: a04d87dde9 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - 面白いですね！続きが気になります！これからも更新頑張ってください！ (2018年3月22日 17時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふらすこ | 作成日時：2018年2月5日 14時
