【名探偵コナン】それ、疲れません？【降谷零】

Case7 ページ8

"あら、珍しいわね"


灰原哀。

コナンくんと同じ小学校に通う少女なのだが、

コナンくんと同様、ただの少女とは思えない。

言っちゃあ悪いが、蘭ちゃんや園子ちゃんなんかよりもよっぽど落ち着きがあって、大人っぽい。

そんな彼女に電話したのは、

こういうときに冷静な対応ができると踏んだからだ。


『結論から言えば、コナンくんが拐われた』

"…え？"

『わけは後で話す。とりあえず、コナンくんの居場所特定できないかな』

"彼のかけてる眼鏡の予備があるわ。
それで逆探知できるかも"

『お願い』

"ねぇ……その誘拐した人って……"


哀ちゃんが何か言おうとしたとき、

私の携帯にキャッチホンの通知がきた。


『ご、ごめん。キャッチホンきたから、そっちでる。
誘拐した人は女性だよ』

"え、あ！"


哀ちゃんの返事を待たず、

キャッチホンに出た。


"どーして急に切ったりするんだよ！！ボクのこと嫌いなのか！？"

『やっぱり世良ちゃんか…』


案の定、というところだろう。


『色々立て込んでた。
コナンくんが誘拐されて、いま居場所特定しているところ』

"コナンくんが…？"


今回の事件の概要を説明すると、

世良ちゃんはクスリ…と笑った。


"Aちゃんは、彼がもう謎を解いてると思うかい？"



楽しそうに、彼女はそう聞いてきた。


私は息を１つはき、



『わかってなきゃ、誘拐なんてされない』



と、返した。



"わかってらっしゃる"

『とりあえず、どこかでコナンくん見つけたら教えて』

"わかったよ"



江戸川コナン、彼のことだ。

真相にはたどり着いているはず。



「Aさん、行きますよ」

『え、あ、はい』


安室さんに声をかけられ、

携帯のディスプレイを閉じた。


『なにか目星はついたんですか？』

「えぇ、パソコンに全てありました」


にこやかにそういう彼。

盗聴器についても、調べるにしても、

蘭ちゃんのパパさんなんかより、頭は切れているはず…。

なのになんで、





「…Aさん？」

『あ、むろさん………』


何者なんですか？







いやいや、

それを聞いたところで……。



『……いや、なんでもないです』

「そうですか」



変な勘繰りはよそう。



「…」



今はコナンくんだ。

そう思いながら、マンションを出た私の背中を、

彼が鋭い瞳で見ていたことなんて、知るよしもなかった。

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