Case37 ページ39
倒れた新一は頭部を押さえ、
痛みに顔を歪めた。
「Aさん、念のため、病院へ連絡を」
『わかりました』
携帯を取りだし、病院と連絡をとるなか、
チラリと安室さんをみれば、
正確に、迅速に、的確に処置を施していた。
(……ハイスペック)
なんでこの人黒の組織に入ってるんだろうと思うほどのハイスペックぶりに開いた口がふさがらない。
黒の組織なんかに入らなくてもいい職場に入ってそれなりにいい生活できただろうに。
なんて、思うけど、
悪人の考えることなど、
私にはわかるはずもなかった。
『ドクターが来てくれるそうです』
「そうですか。ありがとうございました」
『……随分、手慣れてますね』
「え?あぁ…。
僕の昔の友人がなかなかやんちゃな奴らばかりで……」
「僕も例外ではないんですけどね」と、頬を人差し指でかきながら照れ臭そうに笑った。
「……本当に、馬鹿な、やつらで…」
と、視線を逸らした安室さんの瞳は、
微かに揺れていた。
遠く昔を懐かしむように。
___
__
_
『さて問題です。私は誰でしょう』
「…………Aおねーさん」
『はい、正解』
痛みが引いたのか、
先程よりも幾分か表情が穏やかにはなったが、
どこか意識が遠い気がする。
ドクターの診断によれば軽い脳震盪らしい。
「ここどこ?園子姉ちゃんの別荘じゃないよね」
『あー、ここは……』
「ウチの別荘よ!」
パタパタと部屋に入ってきたのは、
コナンくんにラケットをぶつけた張本人。
「ごめんねボウヤ…汗で手が滑っちゃって」
「だから言ったのよ!グリップテープをちゃんと巻いておきなさいって!
あんた、汗っかきなんだから……」
いや汗っかきでもあんなラケットすっとんでこないわ、
と、心のなかで突っ込みをいれるが、
まぁそれが現実となってしまったのだから何も言えない。
「なぁ、この処置したのって、」
部屋に入ってきた、ラケットをぶつけた張本人の他に、
その友人たちが会話をするなかで、
新一はこちらを見ず、小声で尋ねてきた。
『………安室さんだよ。
処置も的確。ハイスペックだよ、あれ』
『まぁ、助けてもらったのは事実。
お礼は言いなよ。
怪しまれないためにも』と伝えると、
新一は嫌そうにするが、
小さく頷いた。
『よし、いい子』
「(くっそ…子供扱いしやがって)」
4477人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソーダ愛す - ヤバい、面白すぎる...!個人的におジャ魔女とひょっこりはんがツボでしたww (12月13日 21時) (レス) @page49 id: 73c730aa71 (このIDを非表示/違反報告)
テトノ - 初めまして、とてもおもしろいです!!!はい、ひょっこりはんの所がとくにおもしろかったです (2022年4月10日 12時) (レス) @page44 id: 766cae026c (このIDを非表示/違反報告)
いつも楽しみに読んでます!更新頑張ってください! - ライ (2018年10月14日 9時) (レス) id: a0ae5a4b08 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、面白いですヽ(*≧ω≦)ノパルクール出来る女子高生とかカッコいい!安室さん推しな感じも最高です♪ 正にドキドキハラハラな展開も良いです(*´艸`*)ひょっこりはんも笑いました(笑) (2018年6月13日 19時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
アオ - あおいさん» ありがとうございます!続編の方、読みました。教えていただき、本当にありがとうございました。 (2018年5月13日 8時) (レス) id: c480416726 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年4月7日 22時