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Case12 ページ13

気づいたときには、

私はすでに工藤家に住んでいた。

有名ミステリー作家の父と、有名女優の母をもつ一人息子、

工藤新一。


実の子でもない私を、

彼らは本当の家族のように愛し、育ててくれた。


不満はなかった。

けど、





「お前、父ちゃんと母ちゃんいねぇんだろ!?」

「捨て子だ捨て子!!」



どこかで、

本当の親に愛されることを望んでいた。



『ねぇ、ゆきこさん』

「なぁに?」







お父さんとお母さんは、私を捨てたの?






そう聞けば、

ゆきこさんは綺麗な顔を悲しげに歪め、

私の頭を撫でて、抱き締めた。



「そんなわけないじゃない。
二人はね、ちょーっと遠いところでお仕事してるだけ」

『……本当に?』

「えぇ」




本当は、わかってた。


両親は私を捨てたのだと。




「いつか、迎えに来てくれるから」







来るわけない。

そう、思っていたけれど、





『……うん、そうだね』





ゆきこさんの優しさを、無下になんてできなかった。








「やーいやーい!一人ぼっち!」

「学校でも影薄いよなぁ!お前!」

「いてもいなくても一緒じゃね?」

「透明人間みてぇ!」

「ハハハハ!!!存在が、



ゼロ!!!ってね!」




うるさい。

黙れ。




投げられた石が、頭に当たり、

ぐらりと視界が揺れた気がした。



「アハハ!存在がゼロなのにあたったぞ!」



煩わしい。

砂ぼこりが舞う、小学校の校庭で、

下品な笑い声が響く。



うるさい。

どうすれば止まる。

そんなの簡単。





壊せばいい。





投げられた石を拾い上げ、

笑う彼らに向けて、腕を振り上げた。



そして、







パシッ









「……何してんだ、オメー…」


振り上げた手をつかんだのは、

ランドセルを背負った新一だった。


「ったく……ここでやり返したらオメーまで怒られんだぞ。
大人しく被害者になっとけって」

「し、新一!?」

「オメーら、俺、見てたかんな」


それだけ言うと、

新一は私の手を引いて、学校へと歩き始めた。





『…新一』

「んだよ」

『私、透明人間だってさ。存在が、"ゼロ"だって』



繋がれた手を見つめながら、

自分でも驚くほどの弱々しい声で、

新一にそう言った。


すると彼は、








「オメェ……………意外とバカだな」



と、

鼻で笑ったのだ。





―――――
金曜日にもう一回映画行ってきます。

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ソーダ愛す - ヤバい、面白すぎる...!個人的におジャ魔女とひょっこりはんがツボでしたww (12月13日 21時) (レス) @page49 id: 73c730aa71 (このIDを非表示/違反報告)
テトノ - 初めまして、とてもおもしろいです!!!はい、ひょっこりはんの所がとくにおもしろかったです (2022年4月10日 12時) (レス) @page44 id: 766cae026c (このIDを非表示/違反報告)
いつも楽しみに読んでます!更新頑張ってください! - ライ (2018年10月14日 9時) (レス) id: a0ae5a4b08 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、面白いですヽ(*≧ω≦)ノパルクール出来る女子高生とかカッコいい!安室さん推しな感じも最高です♪ 正にドキドキハラハラな展開も良いです(*´艸`*)ひょっこりはんも笑いました(笑) (2018年6月13日 19時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
アオ - あおいさん» ありがとうございます!続編の方、読みました。教えていただき、本当にありがとうございました。 (2018年5月13日 8時) (レス) id: c480416726 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/  
作成日時:2018年4月7日 22時

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