テレパシー〈桃 × 緑〉 (ページ4)

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今日1日授業を受けてみて、気づいたことがある。

本を読む時は近くに置いていた補聴器を、授業中は付けてるってことと、そんな授業中でも半分ぐらいは寝てるってこと。

意外とみんなと変わらんことしてるから、不謹慎やけどそこまで重くないんだなって思った。

普通科に通う理由も、本人の意志らしいし。

神山くんは昼休み中でも依然として本を開く。

補聴器をつけたままなのは予鈴が鳴るのを聞き逃さないためなのだろうか。

昼休み長いもんなあ。

それを見兼ねて1人の女子が神山くんの席に駆け寄った。

女1｢ねえ神山くん！その耳につけてるやつ見せてよ！｣

しかも耳元に向かって大声で話しかけてる。馬鹿だ。

ほら、神山くん眉間にしわ寄せて迷惑そうな顔してるやん。

女1｢見ーせーてーよー！｣

無理やり補聴器を外そうとするから、うまく外れなくてカチャカチャ音がする。

高校生なのに、小学生みたいなことしない方がええんちゃう？しかもほぼ初対面やろ？

先生もおらんし、周りは誰も止めようとしないし、

桃｢お前らやめとけや。｣

思わず席を立って放った言葉に、クラス中の視線が一斉にこちらに集まった。

ただ1人神山くんだけがこっちを見なかったけど、その肩が震えていてなんだか切ない。

補聴器を奪おうとした女が悪いのか、大声をあげた俺が悪いのか、どっちにも思える。

女1｢…のんちゃん？どしたん？｣

指摘されて我に返った。

桃｢…っと、ほら！補聴器って繊細やん！？意外と高いねんで！？｣

結局悪目立ちしたくなくて、それっぽいことを言って苦笑い。

女1｢な、なんだ…！びっくりしたぁ、｣

桃｢…ごめんごめん笑｣

何事もなかったかのように元に戻るクラスメイト。

今回ばかりは予鈴に助けられた。

変に庇うことが、時にはナイフになりかねない。

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