テレパシー〈桃 × 緑〉 (ページ19)

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学校を出たのはちょうど部活とかが終わる時間やったから、正門には何年だかわかんないやつらがうじゃうじゃたむろしていた。

そんなとこではゆっくりできなさそうやし、人があんまり通らんような裏門らへんのベンチに2人で腰掛けた。

プシュッと缶のタブを開けて飲み始めた神山くん。相当喉乾いてたんだなあ。

図書室飲食禁止やからなあ。

桃｢美味しそうに飲むなあ(笑)｣

つい口に出していたようで、しまった、と口を抑える。

でも神山くんには聞こえてなかったみたいで、依然として飲むことに徹していた。

緑｢あの、あ、りがと｣

桃｢え？｣

今聞き返したのは、聞き取れへんかったわけじゃなくて、言われたことが信じられなかったから。

神山くんは自分で言ったことに恥ずかしくなったのか、自分の目を覚ますかのように首をブンブン横に振り始めた。

桃｢神山くんにお礼言われるようなことしてへんけどな〜！！！！！｣

体をビクッと震わせて何かに気づいたかのようにカバンの中から補聴器を取り出した。

慣れた手つきで片耳に付けると｢もう1回！｣と言わんばかりの目で訴えかけてきた。

でもさすがにそれは恥ずかしい。

桃｢神山くんって呼ぶと距離感じるから神ちゃんって呼んでもええ？｣

緑｢えぇ、、｣

一瞬引いてうろたえたけど、顔は赤くなるばかりでそのまま全然答えてくれなかった。

一気に距離を詰めすぎて今度こそ嫌われたかと思った。

桃｢だめ？｣

緑｢…じゃ、ない｣

そこから返ってきた答えは意外にも予想の逆だった。

言葉は探り探りだけど想いが確かに伝わるからやっぱり好きな人がいるってすごい。

のんちゃんって呼んでいいよって言おうとしたけど、そんなんみんなに呼ばれてるしつまらん。

どうせなら誰とも被らない呼ばれ方がいい。

せやから、小瀧くんって呼ばれたい。

よくよく考えると自分が一番重いねん。

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