【明治東京恋伽】紅月の光 (ページ12)

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～音奴side～

俺は芸者だ

いまは訳あって女装している

そんな俺と出会ったのは、1人鹿鳴館近くのベンチに座っていた少女

軽く結った髪がフワッとなびいたかと思うと

フラッといきなり倒れた

倒れる時に見えた瞳は
泣いていて

だけど、思わず
綺麗だと思った

俺は風邪の心配、病気の心配もあると放っておけず家に連れて帰り

今の状態にいたった

「A～～！！」

まぁ

「はーい？」

妹ができたようで

「あんたとおなじくらいの小説をかいている鏡花ちゃんに会いにいくんだけど…いくかい？」

楽しい

「いきます！！」

ちょっと、幼い返事とか
やけにはっきりとした答え方とか、

ワクワクした瞳を向けてくるので

いたずら心で、思わず頭を撫でる

あって数日、おれはこいつの中身をよくしらない

鹿鳴館に1人でいて倒れるくらいだから、たぶん相当なことがあったんだろう

笑わせてやりたい

辛いことも吹き飛ぶように

だから優しく
ちょっと乱暴に

「髪が崩れるって！ww
音奴！すとっぷ！！」

「おっ……」

ビックリした

笑えるじゃねえか

それもとびきり可愛く

「音奴～？」

不意打ちだ
俺より背が小さいから、仕方なくなっていまうその上目使いも

全部

「…………」

俺は初見だ

そっぽを向いたまま
逃げてしまったのは

きっと用事があったから
心臓の鼓動が速いのも

きっと今

走っているから