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「ん〜……いい匂い」
広がる匂いによって、思わず零れた言葉に、長野が嬉しそうに笑うと、口を開いた。
長「カモミールティーに、蜂蜜、ミルク、しょうがのどれかを入れますか？」
「入れると、美味しくなるんですか？」
長「えぇ。
カモミールティーと蜂蜜は相性が抜群です。少し足すだけで、甘さが引き立って飲みやすい味わいになるんです。」
「ミルクは？」
長「普通に、カモミールティーをミルクティーにして味わうんですよ」
「しょうがは？……あ、もしかして、身体がポカポカする、とか？」
長「ご名答です、お嬢様。すりおろしのしょうがを入れる事によって、カモミールティーとしょうがのバランスで、身体が暖かくなるんです。」
「えぇ……どれにしよう……」
長「私だったら……しょうがを選びます」
「どうして？」
長「さっき、仰っていましたよね。微熱に戻ったと…
ですから、この後休むとなれば、身体がポカポカで休める事が出来るので、完治するかと思って…」
「すごい……さっきの会話、覚えていらしたんですね」
長「もちろん。お嬢様の執事ですから」
「ふふ……優秀な執事の方なんですね。
じゃあ、しょうがにしてくれますか？」
長「承知致しました」
長野は、カップの中にすりおろしたしょうがを入れると、ソーサーの上にカップを起き、それをAの前に出すと、その横にメレンゲが乗った小皿が置かれた。
長「カモミールティーに合うお菓子です。」
「えっ…これ、長野さんが作ったんですか？」
長「はい。」
「すごい……長野さんって、紅茶に詳しいしお菓子も作れるって…凄すぎます。」
長「お褒めに頂き光栄です。……さぁ、冷めないうちに召し上がってください」
「じゃあ……お言葉に甘えて…いただきます」
Aはカップに手をつけ、1口飲むと目を開いて顔を上げた。
「美味しい……これ、今まで飲んだ紅茶の中で1番、美味しいです！」
長「ありがとうございます」
「やっぱり、ちゃんと蒸らした方がいいんですね……味が違う…」
ハマったのか、どんどん飲み続けるAに、長野は安心したように笑った。
彼女は、次にメレンゲに手を伸ばし一口で食べると、顔を綻ばせた。
「幸せ……」
小さくそう呟くと、長野は満足そうにカップに継ぎ足した。
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作者名：V-GIRL | 作成日時：2018年4月10日 19時
