*お嬢様の気持ち ページ11
坂「じゃあ、Aはお前らの命の恩人ってわけか」
井「そそ。そーいうことよ
だから、次は俺達がお嬢様の事を助ける番。なんでも言って?何でもやるから」
坂「……ありがとな、井ノ原。」
井「あぁ、そうだ。
長野くんが、協会の人から最重要危険人物を伝えられたって言ってたんだけど……一応、坂本くんにも報告しとくね」
坂「お、おう…」
井「本郷家の令嬢、本郷詩織とその執事 忍と最近新しく入った、悟。」
坂「何がどう危険なんだ?」
井「令嬢が、執事依存症なんだって。忍が来る前に、柴田理人っていう奴が使えてたらしいんだけど、その間に令嬢はその執事に執着し始めたって。」
坂「その仕えていた執事は、今どうなってんだ?」
井「執事、やめたって話だよ。
でも、その令嬢、噂があってさ……自分が気に入った物があったら、しつこく執着するって。」
坂「厄介だな……」
井「でしょ?……って、どういう意味?」
坂「いや……明日、本郷様がここに訪ねてくるらしい」
井「へぇ〜……って、え?!まじで!?」
坂「あぁ。」
坂本が一点を見つめながらそう言うと、井ノ原も驚いたのか、ガタンっと音を立てて立ち上がった。
井「じゃあ、気をつけなきゃいけねぇじゃん」
坂「でも、本郷って言っても、他の人だったりするだろ」
井「まぁ…ね…」
2人はそれに納得したが、翌日やってきたのは、井ノ原が言った通りの人だった。
その日の夜。
坂本に呼ばれ、広間へ行くと、自分がいつも座っていた席に料理が置かれていたが、他の席には何も置かれていなかった。
坂「お嬢様?」
「……」
急に立ち止まったAを不審に思った坂本は、後ろから声をかけるも聞こえていなかったのか、何も言わずに席についた。
長「失礼します。」
台所に近い扉から、ワゴンを押して来たのは、買い物を頼まれた長野。
そのまま、Aの近くに来ると、ワゴンに乗っているグラスを置き、その中に水を入れた。
長「今日のディナーは、牛ロース肉のポワレ シャスールソースでございます。」
料理の紹介を終えると、長野はワゴンを押して戻っていき、広間には坂本とAの二人きりになった。
「いただきます」
小さくそう言うと、ナイフとフォークを手に取り、一口サイズに切り、その1つを食べると美味しいのか、口元に笑みを浮かべた。……が、それもつかの間、どこか辛そうな表情を浮かべた。
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作者名:V-GIRL | 作成日時:2018年4月10日 19時