75.捨て駒 ページ30
遠い目をして話す風間に、Aは彼の横顔を見つめた。
風「ACTORの中から、死人が出ても気にしないんです。上は。
現に…僕達のグループに、龍崎イクオという男がいたんです。
彼は、生まれつき2つの能力を持って生まれました。
大人になり、ACTORに入れられた。…その頃、僕はまだ入りたてで……
ある時、ショッピングモールで立て篭もり事件が発生し、僕達が人質を助けに行くことになったんです。
何とか中には入ったものの、イクオくんは、たまたまそこに居合わせていた腹違いの双子の弟である斗真が、犯人に狙われている事を誰よりも早く気付き、彼を自分の身を挺して守ったんです。」
「…その、龍崎さんは」
風「助かりませんでした。……正しくは、助けてくれなかったんです。」
「どう…して」
風「言いましたよね、最初に。
僕達なんか、ゴミ同然なんです。例え、自分の兄弟を命懸けで守ったところで、ACTORにいる限りヒーローとして見てもらえない。
たくさんの能力を持ってるんだから、当たり前じゃないかっていう目で見られる。
そして、僕達ACTORは死ぬ時が来たら、死ぬように仕向けられている。
イクオくんは処置をすれば絶対に助かっていた。
でも…3つの能力を持つ彼は、上層部の人間にとってはただのゴミに過ぎないんです。
助けられる命も、出来る限りたくさんの能力を持つ者を捨てるために何の治療もせずに死なせる。
そうすることで、一種類の能力を持つ者が増え、2種類以上持つ能力者は消滅していく。
だから……僕達は、上層部にしてみれば死んでも全く気にされない存在なんです。……酷い話ですよね、僕達を上手いように利用して、少しでも怪我をしたらそれで捨てられる、ってね」
風間から聞かされた事実に、Aは苦しそうに顔を歪める彼を見ては、何も言葉をかけられない自分を攻めると、それを感じたのかフッと笑った。
風「そんなに苦しまないでください、Aさん。
これでも、僕達は幸せなんです。イクオくんがいた頃は、こんな部署も名前だけだった。
でも、マッチさんやアツヒロくん達ベテランの人が必死に説得してくれて、1つの階を使わせてもらえてる。
僕達は、感謝してるんです。上層部にとっては捨て駒同然の僕達を、救って訓練まで見てくれる先輩方の為なら、喜んで命を差し出す。
先輩方の命と引き換えるために、生き抜いてやるって思えた。
初めてなんです。まだ、死にたくないって思っていきているのが」
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陽向 - Ｖ６小説を探してたら、辿り着きました!!とってもとっても続きが気になるので、お時間が出来たら更新お願いします。博くんとのこれからが気になります〜!!!! (2023年4月27日 22時) (
レス) id: 5dffaddba3 (このIDを非表示/違反報告)
bluesea(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2018年1月25日 22時) (レス) id: fc562b247e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：V-GIRL | 作成日時：2018年1月15日 10時
